王様に言われたからとりあえず魔王殴ってきた〜勇者も賢者も出ない英雄譚〜
ヒデ◎
第1話
「其方には魔王を倒してきて欲しいのじゃ」
王様は男に告げた。一部を言い忘れて。
「わかりました!行ってきます!」
時は流れ…
「倒してきました!証拠の魔王の兜です!」
「よくやった!ところで勇者様は?」
「誰ですかそれは?」
「其方の仲間の勇者様じゃ。褒美を与えねばのう。」
「なかま?」
「うむ。」
「いませんよ?」
「は?」
「倒してこいっていうから1人で旅をしながら強くなって魔王ぶん殴ってきましたよ?」
「勇者じゃなければ魔王は倒せぬはずじゃが…」
「じゃあ僕が勇者だってことですか?」
「いや、其方ではない。神託では東の王国にいるはずじゃが。お主は勇者を含めた仲間と共に魔王を倒すことになっておった。」
「あーそっちは大回りになっちゃうんで寄らなかったですね。」
「余は勇者を探して共に倒してこいと…」
「倒してこいとしか言われてないですね。」
「勇者しか扱えぬ聖剣は?」
「剣じゃないんですけど途中で神の加護が付与された籠手を授かりました!まさに聖拳。神様曰く剣と拳と賢があると。」
「神様に会ったのか?!」
「自称ですけど…魔王倒しちゃったので本物だったっぽいですね。」
「神様に何か言われなかったのか?」
「なんか馬鹿みたいなフィジカルしかないじゃん…とか言われて体術教えてもらいました。その後ナックルを。」
「剣と魔法の世界で体術…」
「剣か魔法で倒すことはあっても拳は滅多にないみたいですね。そもそも勇者と賢者は見つかっても拳闘士はなかなか出てこないらしいですよ。」
「…」
「そもそも3人で倒せば楽なのにパーティに勇者のみとか賢者のみで倒すパターンが多いことに嘆いてましたね。伝説が間違って伝わってるって。」
「書き直せ!」
「今回神託が来たのがうちの国で神様に会ったのが結構最近なので勇者と賢者探して育てるよりももう勝てるだろうから行っちゃえって投げやりに言われました!」
「諦められてる…」
「で、魔王城行って魔王ボコボコにして帰ってきました。」
「そんな簡単に言われてものう…」
「とりあえず世界は平和です!」
「まあ確かに」
「帰って良いですか?」
「まあまあ、褒美を授けるから。そして盛大に宴を開こう。食事も用意するぞ。」
「ありがとうございます!」
そして世界は平和になり、伝説は書き換えられた。
「帰ったら彼女寝取られてました…」
「もうここに住みなさい!忘れろ!」
そして王女と出会い幸せな生活を送ることになるのだから世の中わからないものである。
王様に言われたからとりあえず魔王殴ってきた〜勇者も賢者も出ない英雄譚〜 ヒデ◎ @hide_maru
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