第18話
「明日早いから今日は早めに寝ないといけないね」
柊を見送った時、別れ際に彼女はそう言った。
そのあと、帰り道や家に着いてからもずっとラインが止むことはなかったが、気がつけば夜の十一時を過ぎていて。
そろそろ寝ないといけないかなと、何度かさりげなく眠くなってきたと伝えるものの柊からのメッセージは途切れることはなく。
こうしてずっとラインをしているのは楽しいのだけど、明日睡眠不足でヘマをしたら格好がつかない。
だからそろそろ寝ようと思うのだけど。
『そろそろ寝ないといけないね。でも、私が寝るまで待ってほしいな』
そう言われると、寝たふりでラインを途切らせるのも悪い気がして。
また返信をするとすぐに連絡が来て。
かれこれ一時間以上なんでもないやりとりを続けているとようやく。
柊からの連絡が途絶えた。
「……寝た、かな」
少しホッとした。
でも、なぜか少しだけ不安にもなった。
結局この日、彼女から連絡が返ってくることはなかったのだけど。
俺はあまり寝付けずに、寝不足のまま朝を迎えた。
◇
「ん……ん?」
朝。
俺は何かの物音で目が覚めた。
うっすらと目を開けて、ぼんやりする視界にピントを合わせていると。
「あ、おはよう」
「ああ、なんだ柊さんか……えっ!?」
なんと、柊が俺の部屋を片付けていた。
俺は慌てて飛び起きた。
「な、なにしてるの?」
「ご、ごめん起こすつもりはなかったんだけど……その、早く到着して、手伝うことないかっておばさんに聞いたらね、今日は休みだから店のことはいいって。その代わり、森崎君の部屋を掃除してくれって」
「……母さんのやつ」
さすがになにがなんでもやりすぎだと、寝覚めから母にイライラしていると。
「あ、でも私も自分でやりたくてやってることだから」
心の声が聞こえたのか、柊が母を庇うように言った。
「あ、いや、迷惑とかじゃないんだけど。むしろ嫌じゃなかったの?」
「うん。森崎君、気持ちよさそうに寝てたし」
「なんかそれはそれで恥ずかしいよ」
「……そのうち、毎日見るのに?」
「え? 今なんて」
「ううん、なんでもない。コーヒーだけ淹れるから、ゆっくり下に来てね」
柊は少し微笑んでから。
静かに部屋を出て行った。
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