ひまわり



 夏。




 すべてが鮮やかに燃えている。


 私は、この季節が好きだ。


 夏は、私の季節。


 私は、夏に生まれたのを誇りに思っている。


 青い空。


 白い入道雲。


 にわか雨でさえ、すべてのものをキラキラと美しく飾る。


 そんな空に、両手を伸ばす。


 私は、きっと誰よりも太陽に近いはず……。




 私の太陽は、彼。


 輝く水しぶきをあげながら、懸命に泳ぐ人間。


 ううん、人間じゃないかも。


 彼は、そう例えるなら『イルカ』


 速く、力強く、優雅に泳ぐ。


 私は、知ってるよ。


 あなたは、毎日泳いでいるね。


 まっすぐ、まっすぐ……。


 大きな大会が近いんだよね?


 私は、あなたを見つめることしかできないただの『ひまわり』


 だけど、あなたの優勝を祈っているよ。




 私の太陽へ。


 もうすぐ、夏が終わりますね。


 あなたとも、お別れしなければいけません。


 水泳大会の話、聞きました。


 優勝メダル、逃して残念でしたね。


 でも、あなたが誰よりもがんばっていたのを私は知ってます。


 だから、私から優勝メダルを贈ります。




 一輪の『ひまわり』を……。




  ★FIN★

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