第10話
その日その異変に最初に気付いたのは結界を監視していた伊黒と誠だった。結界に異変があり詳しく情報を集めると武装した集団がグリモアに向けて進軍しているのが確認されたからだ。
「来て欲しくは無かったが遂に来てしまったか」
通信石越しに悠はそう言って苦虫を噛み潰したような顔をした。そして学園の廊下を走りながら学園長室に向かう途中で黒羽悟に連絡を入れた。
「叔父さんすいません。今すぐにグリモアに部隊を投入して欲しいんですけど現状最大でどれくらい出せますか」
「襲撃か?俺と由紀子の第一部隊と第二部隊そしてそして雄二の第三部隊と穂乃果の第四部隊、合計40人だ」
「では直ぐに来て下さい。それと八咫烏の外川室長に援軍の要請を」
そう言って通信石を切りまた別の所に通信石で掛ける。
「傑、急いで来てくれ」
「襲撃か。オーケー装備整えてポータルで向かう。」
「さて後はウチのチームと学園側の魔導士を動かすか」
悠は今回の作戦の臨時指揮所としてある学園長室に着くと到着しているメインメンバーに指示を出す。
「敵の数はおよそ100。表門と裏門双方で攻めて来てて大体片側に50人規模の部隊ですね」
「さてどっちに誰を配置するかだが」
「俺と黒羽家の主力半分、そして学園の魔導士をそして裏門には誠、伊黒、水戸坂の八咫烏メンバーと後から俺の同期の傑、そして残りの黒羽家の魔導士で迎撃しよう」
悠は誠や伊黒から聞いた話を纏めて指示を出す。
「それじゃあ各自持ち場に着いてくれ」
それから2時間してグリモアの裏門の方で戦闘の狼煙が上がりそこから正門の方でも戦闘が開始された。
「誠〜こっちはハズレみたいだな。」
「そうですね水戸坂先輩。こっちはバベルのスイーパークラスの実力者は居ますけど統制が取れてるだけでリスクはBからAクラスですね。でも悠先輩の方に居るのは4人程Sクラスの気配が」
「早めに片して向こうに行きたい所だけどキツイな」
そう言って伊黒は手早く刀を取り出して抜刀した。
その頃正門の方でも戦いは始まっており悠がスコーピオンと蠍蜘蛛を使って敵の足止めと戦力を測っていた。主に相手は鉤爪を使っての戦闘なので何度も打ち合えば互いの武器は破損していく。そして相手が武器を何もない所から鉤爪を錬成したのを見て悠は自陣の不利を悟った。此方が主に使っているスコーピオンは魔導具に魔力を流して精製するのに対し相手の鉤爪は錬金術だと見破ったからだ。錬金術はごく少量の魔力と触媒さえあれば何度でも同じものを精製出来る。これは触媒に魔力が最初から込められている為であり自身の先輩である八咫烏所属の帝瀬奈から聞いていた為、速攻でスコーピオンを使うのをやめた。そして相手に向けてサンダーピアスを7連射した。しかし全てが相手に当たるも弾かれた。
「クワトロレジストも付与済みか。ならもう近接戦しかないな。雄二は俺の代わりに指揮を執れ。穂乃果はルカと協力して俺と雄二の第三部隊が討ち漏らした敵の処理だ。絶対に生徒には指一本触れさせるなよ」
そう言って悠は風刃を取り出して斬り込んだ。
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