第9話
天王寺邸の広間で悠は雄二達とある人物の到着を待っていた。その人物は現在の御三家の当主の中で最高齢でありながら全く戦闘力が衰えておらず有事の際には自身も先頭に立って戦う人物であり悠にとっては恩人に近い人物である天王寺樹だ。暫く待っていると奥の部屋から樹が現れた。
「お久しぶりです、当主様」
悠はそう言って頭を下げる。
「うむ久しいな悠よ。息災であったか」
「はい。しかし急な呼び出しとは何事でしょうか。お義母様を通して報告はしていた筈ですが」
「まぁ時間は沢山ある。座って茶でも飲みながら話すとしよう。武田、茶の用意を」
樹がそう言うと武田は無言でその場から退出した。
「悠、お前植田博士は知っているか?」
「ええ天才であり天災数々の魔術や魔導具などを生み出してきた魔導博士でしたよね。天王寺家や他の御三家も彼の発明にあやかっている筈ですよね」
「ああ、そして植田博士と我が天王寺家は密約も結んでいるのだよ。彼がバベルでの悪行は実は家族や親族らを人質としてとられているが故に取らざるを得なかったことだ。そして先日博士が亡くなられた。その後を継いだのは東秀次という男だ。彼は密約の追加としてバベルの情報を渡す代わりに博士の娘と先程言った親族を有事の際に護って欲しいとの事だ。出来るか?」
「一度東秀次と会って話したいのですが」
「そう言うと思って通信回線が開いてあるぞ此方から呼び掛ければ向こうも出る筈だ。」
「ああ聞こえてるか。聞こえるなら返事を」
「アンタとは初めましてかな。天王寺悠君」
「君付けはやめろ東秀次。バベルの中でも幹部クラスだろアンタ。得意分野は錬金術。だが他にも基本4属や召喚術も得意だろ。まぁこっちはアンタがバベルの方でも穏健派だから危険度はそんなに高めに設定してない精々B最大でもAAだからな。逐一情報をくれるならそっちの条件呑んでもいい。こっちからも要求を1つ裏社会の情報を俺個人に教えてくれ」
「そんなことでいいなら教えられる時に教えるよ」
「それじゃあな」
そう言って悠は通信を切った。
「兄さん、失礼します。兄さんにお届け物です。」
「やっと調整が終わったか。」
「兄さんの為に造られた様なものだもんね。あれらは。風刃も雷刃も炎刃も氷刃も」
「何とか間に合って良かった。やっぱり自分に合う武器と合わない武器とじゃな」
そう言って悠は4本の剣をそれぞれ手にとり魔力を流し始めるやがて全ての剣に魔力を流し終えると剣が悠の魔力と同調した事を表す様にほんのりと光った。
その後は樹と悠はそれから数時間報告していた事や今後の事態の対処について話し合った。
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