登場人物たち

肥後妙子

第1話 未知の世界へ行けたなら

 冒険小説を書きたいな

 夢に女神が出てきて 魔法のナイフを渡されて

 目が覚めると本当にそれが手の中にあったりして

 主人公は男の子と女の子どっちが良いかな

 

 男の子と仮定してみよう

 男の子なら旅の目的は何が良いかな

 やっぱりとらわれの姫を助けてほしい

 姫はどこに囚われてるかな

 崖の上に立つ古い城館かな

 柔らかに波打つ髪が

 絡まって逃げられない

 何に絡まっているのだろう

 思いついたのは壁に付いた帽子掛けのフック

 それに囚われの姫の髪が絡まっている

 

 姫は思う 

 いっそのことナイフがあれば

 この髪を切りはずせるのに


 魔法のナイフを持った男の子は

 姫を助けるために旅をする

 ナイフは導く

 髪が絡まっている姫のもとに

 

 姫の髪はどれくらいの長さだろう

 思いついたのは腰くらいの長さ

 白雪姫みたいな黒髪か

 眠り姫みたいな金髪か

 栗色の髪も良いかな

 ゆるやかに波打つ髪

 栗色にしよう


 何故、姫の髪は帽子掛けに

 絡まっているのだろう

 それは悪者のせいに決まっている

 どんな悪者にしようかな

 悪者の眼光は

 鋭ければ鋭いほど良い

 

 悪者は自分を正義だと思うものだ

 悪者の髪の色は

 銀色が良いかなと漠然と思う

 銀髪の二枚目で頬に刀傷がある

 カッコいい悪者を

 思いのまま動かせれば

 きっと面白い冒険小説ができる気がする


 主人公の男の子の事を忘れていた

 どんな子が良いかな 

 思いついたのは赤毛の男の子

 授けられた魔法のナイフには

 透き通る黄緑の宝石

 魔法のペリドット

 タイトルもそれに決めるかな

 魔法のペリドット


 何故ペリドットは姫のもとへ導けるか

 それはペリドットが姫の涙でできているから

 姫が産まれた時にこの世で

 一番最初に流した涙が

 初冬の昼間の日差しを浴びて

 ペリドットになった

 それを見た神官がお告げをしたのだ


 「姫が苦難にあった時、そのペリドットが飾られたナイフが奇跡を呼ぶでしょう」


 最初の涙のペリドットは姫の唯一の奇跡

 それを飾ったナイフを持って

 赤毛の男の子は旅をする


 ところで

 姫の髪を絡ませてのがさない

 帽子掛けは何者だ

 これにも仕掛けを考えないと

 やっぱり魔法を使わないと


 帽子掛けは銀髪の悪者の

 取外し可能の人差し指

 眼光鋭い悪者は決して姫を逃さすまいと

 帽子掛けにした指に

 姫の髪を絡ませたのだ

 

 姫、危うし!

 赤毛の男の子、早くきて!

 読んでいる人がそう思ってくれるような

 描写ができると良いですが


 最終的に姫は赤毛の男の子に助けられて

 ハッピーエンドになるわけですが

 悪者にも愛着が出てきてしまったので

 彼をカッコよく去らせたい


 刀傷のある銀髪の悪者は

 どんな台詞を言うだろう

 私が本格的に冒険小説を書き始める時は

 悪役の美しい台詞を思いついた時なんだろうな

       

               完

 

 


 

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登場人物たち 肥後妙子 @higotaeko

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