冒険小説の登場キャラクター達に作者が思いを巡らす。
どんな設定が良いかな? こんな話はどうだろう?
ただそれだけの掌編なのですが、読んでいると胸躍らずにいられない。
なぜならそれは、創作の楽しさ(と辛さ)がここには全てギュッとつまっているから。
ジグソーパズルが出来上がっていくように、物語が完成へと向かっていく過程は実に楽しいものです。でも、大人になるにつれて、設定の細かい部分が「おかしいぞ、不自然だぞ」と気になり始めて色々と考えるようになる。もしかすると、自由に、無邪気に話を作れるのは子どもの特権なのかもしれません。
それでも創作は楽しい。幾つになっても。
クリエイトする楽しさを知りたい貴方へ、是非!
作者様の中にはすでにたくさんの登場人物たちが生きていて、それぞれに動機があり、物語を待っている、そのように感じました。
赤毛の少年、栗色の髪の姫、銀髪の悪役——どのキャラクターも、きっと書き始めればきっとすぐ、作者様の筆に導かれて、自ら動き出すように思えてなりません。
作者様の手の中には、すでにそれらの“かけら”が揃っています。あとは一つずつ書きとめて、つなげていくだけのように思います。
始まりは「姫の涙でできたペリドット」からでも、「悪役の美しい台詞」からでも、どこからでも大丈夫なんじゃないかなぁって思ってしまいます。
きっとその物語は作者様と一緒に育っていくことでしょう。そしてそれを読んでみたいです。