ルート分岐
もふもふ
第1話
「ルート分岐」
もふ山もふの進
誰しも、秘密を抱えている
僕もそうだ。他の人に比べれば、そう大した秘密では無いだろうけど
深夜、裸で寝ている彼女を起こさないように、そっと離れる
よし、起きてない、成功だ
音を立てないように、気付かれないように、僕は外へ出る
と言っても、他の女性が目当てというわけでは無い
夜中の街は表情が違う
時折、僕はそれが見たくてこっそりと彼女から離れるのだ
それが僕の秘密
大したことは無いって?
僕もそう思うさ
でも、彼女が知ったら恐らくびっくりするだろうから秘密にしているんだ
深呼吸をする
こんなことを繰り返していると、同好の士にもたまに出会うことがある
とは言っても、名前も知らないけど
同じ匂いを感じて、すれ違いざまに会釈する程度だ
夜風が心地良い
今夜は妙にお仲間さんとすれ違う気がする
しばらく歩いていると、こんな深夜なのに何人かが集まっているようだ、何だろうか
人だかりに近づくと、段々話し声、いや、歓声が聞こえてくる
辿り着くと、二人の男が向かい合って相撲を取っている
少し離れて、2人を囲むようにたくさんの人が
スポットライトは月明かり
口々に好き勝手に応援したり罵声を浴びせたり
男が倒されたと思うと、1人の観客が飛び入りで参加し、倒し、倒され、次々と入れ替わっていく
よくわからんが面白くなってきた
僕も参加しよう
倒されたタイミングですかさず僕は土俵に上がる
「次は僕の番だ」
相手の男はニヤリと笑い、どっしりと構えた
開始の合図なんてものは無い、ただ、聞こえてきたのはサイレンの音
パトカーと共に大量の警官がやってくる
「何してんだテメェらゴラァ!!」
「何って、相撲を取っているだけだが……?」
「何で!屋外で!夜中に!全員全裸なんだって聞いてんだよ!!!」
連行されながら、僕は彼女の事を考えていた
すまない、夜明けまでには戻れないだろう
いつか返ってくるから、それまでピラピラの席は空けておいて欲しい
ルート分岐 もふもふ @mohumohuuuu
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