迷子の犬娘

🐺🔥🚇セレンとセシウム

迷子の犬娘

 それは、雨で三十分しか部活が出来なかった日。

 ザザァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

 陸上部の女子高生の朱華は、傘をささずに家へ帰っていた。

「傘が無いなんて最悪!」

 濡れた赤いポニーテールを揺らしながら急いで家に向かっていた。

 すると、住宅街の突き当たりで怪しいお姉さんを見つけた。

「ううん?」

 黒いボサボサのロングヘアーをした黒犬の頭と黒いもふもふの尻尾をしたグラマーなお姉さん。

 それが、探し物をしているかのように四つん這いで歩いている。

「どうしたの犬娘のお姉さん?」

「ああ、わたしはブラックドッグのヒヴァ。主の魔法少女とはぐれてしまった。五百年も見つかってない」

「かなり長い迷子なんだね」

「ウォン!」

「じゃあ、家に一緒に帰ろう?」

「ウォン!」


 朱華は、ヒヴァと共に家に帰った。

 すると、玄関より左に方に気になる庭があった。

「ウォオン?」

「ああ、アレはトラックだよ。あたしが五歳時に出来たんだ。朝はいつもそこで練習しているよ」

「ウォォ!」

「朝から、一緒に練習する?」

「ウォン!」


 それから、毎朝。

 朱華とヒヴァは、トラックで短距離走の練習をした。

 しかし、朱華がいくら走ってもヒヴァには追い着かない。

 そんなある日のこと。

 タッタッタッタッザザッ!

「ヒヴァさん。四つん這いなのに早いね!」

「魔法少女の従者を甘く見ては甘く見ては困りますよ」

「それで、なんだけれどさぁ。お姉ちゃんと呼んでいい?」

「ウォン?」

「あたしは、今までずっと一人っ子だったんだ。だから、兄弟がほしかったの」

「ウォン。いいでしょう!」

 すると、お母さんが、二人のところにやって来た。

「朝ごはんよ!」

「ええ?」

「ウォン?」

 なんと、お母さんが赤いツインテールと赤いドレスの姿で現れたのだ。

「ば、バレた……しかも娘と昔の従者に…………」

「お、お母さん?」

「なぜ、主が?」

「実は、あたしは不老不死の魔法少女なの。正体がバレないように魔法で変身していたのよ」

「そうだったんだぁ……て、不老不死ってことは?」

「あなたの兄弟もどこかにいるわよ」

「よかたぁぁ……」

「わたしも安心しました」

「ええ?」

「主がここにいたことで、わたしは、姉としての役目を続けられます。わたしと姉妹になれますね。朱華様」

「呼び捨てでいいよ」

「はい、朱華」

 ギュッ!

 知らない兄弟をに会いたいと思った朱華。

 そよりも、目の前のブラックドッグのお姉さんを大事にしようと思ったのである。

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