第3話「幼馴染」

 高橋は考えていた。


 まだ高橋が小学1年生の頃、毎日遊ぶ仲だった幼馴染がいた。その子も野球をしていた。というより、高橋を野球に誘ったのはその子だ。


 たが、その子は小学2年生の時に突然転校してしまった。


 その子の名は、斉藤 祐介。


 今日は月曜日、部活だ。

相変わらず高橋は、「今どこに居るんだろう?」「まだ野球しているのかな?」と斉藤について考えていた。


 高橋は斉藤を見つけるにはどうしたらいいか考えた。

そして思いついたのが、進堂の情報屋「藤江祐希」に聞く事だ。彼はどんな情報でも、2日以内に見つけ出すという伝説をもっている。


 高橋は部活終わりに藤江に聞いてみた。すると明日までに調べ上げてくるとだけ言って、帰っていった。


 次の日部活が始まると、藤江がグラウンドの隅で高橋に向かって手招きをしているのに気がついた。高橋が向かうと藤江は自信満々に言った。「すべてが揃った。」

藤江は話し出した。

「今、斉藤祐介は愛知県の鳴古南高校に在籍しているらしい。そして野球部のキャプテンで、愛知県では有名な存在らしい。」


 高橋は考えた。また斉藤に会うにはどうしたらいいのか? 

高橋は藤江に自分の考えを言ってみた。


「鳴古南高校は前回、甲子園に出ている。だから甲子園に出る可能性は高い。つまり俺たち進堂高校も甲子園に出れば会えるかもしれない!」


なぜか、藤江は何も言わない。

恐る恐る藤江の目線の先を見た。高橋の最初に思った事は絶望だ。

そこには、鬼の形相をした監督の中田が居たのだ。


 説教が始まった「ベッチャ、ベッチャ、ベッチャ、ベッチャ、ベッチャ、ベッチャ話しやがって今は、練習中だぞ!!」


 高橋は何も言えなかった。


 説教はまだ続く「そんなんだったら、俺は練習に付き合ってやらねぇ!」、中田はそう言って職員室に帰ってしまった。


 高橋は他の部員に申し訳なく思った。

なんせ、しっかり練習していた部員も巻き込んでしまったからだ。


 高橋は部員みんなに謝った。するとキャプテンの菅原が職員室に向かった。


 菅原は中田監督に向かって言った。

「僕はしっかり練習していました。なので練習に付き合って下さい。」

でも中田は断った。それでも菅原は続ける。

「僕は練習に付き合ってもらいたいです。」中田はその勢いに押されて、しょうがなく練習に付き合った。

おかげて中田の怒りは収まった。


 その日は反省も込めて、いつも以上に練習に励んだ。


 大変な1日だったが、代わりに斉藤祐介の情報を手に入れることができた。

高橋はより甲子園出場の気持ちが高ぶった。


 また明日から甲子園に向けて高橋たちは努力する。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

サウスポー K みちお @Ace_00121

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ