キミとボク
三愛紫月
キミとボク
雪原を駆け回るミナモを追いかけて、20分が経っている。
寒すぎて、凍えそうなボクとは対照的にミナモは楽しそうに走り回った。
さすがに、もう限界だ。
ボクは、ひっくり返って天を仰ぐ。
ミナモよ。
ボクを心配して来てくれないだろうか?
「キミは、やっぱりすぐに疲れちゃうね」
「やっと戻ってきた」
最初の説明だとミナモは、犬か猫かだろうと思うだろう。
だけど、実際は違うのだ。
ミナモは、昨年ボクが見つけた天使。
父が亡くなって、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いていたボクの目の前に突然現れた。
現れたというよりかは、降ってきたという表現が近いだろう。
泣いているボクの目の前に、ミナモが落ちてきたのだ。
それからは、毎日。
鬼ごっこやかくれんぼをしたり遊んでいた。
ミナモは、とにかく追いかけられるのが好きだ。
そのせいで、ボクは雨の日も風の日も……。
こんな雪の日まで、ミナモを追いかけなくちゃならないのだ。
「人間って、すぐに疲れちゃうから可哀想だね」
「ミナモが異常なだけだよ」
「そうかもね。天使は、疲れるって概念がないからね」
「本当に?ミナモだけじゃない?」
「どうかな?みんな、結構遊んでるよ」
ミナモは、嬉しそうに笑っている。
ボクはいつまでこうしてミナモといれるのだろうか?
大人になっていくに連れて、ミナモの姿は見れなくなる。
現に、今も……。
ミナモの左足が消えかけている。
ミナモを追いかけれるのは、後どれくらいかわからない。
「よし、もう一度やるかな」
「本当に?」
「うん。復活した」
ミナモが消えるまで、ボクはミナモを追いかけていよう。
キミとボク 三愛紫月 @shizuki-r
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます