ギャルゲの世界に転生したみたいだけど、攻略対象の業が深すぎるんだが……?

豆腐の角をぶつけられた

ギャルゲに転生したみたいだが、鬱展開はなしでお願いします


・身体 5

・知性 10

・判断 8

・根性 7

・運  11

 

 

「は?」

 

 

 転生してからだいぶ話せるようになったころ、暇すぎて暇すぎて「ステータス」と唱えてみたところ、それは現れた。

 

 は???

 

 触ってみても空を切る。触れないみたいだ。

 が、根性が数値で計れるってなんだよ、って思った時

 

 

・根性

→精神 弱

→物理 弱

 

 

 根性の詳細が現れた。どうやら思考操作ができるみたいだった。

 え、ゲーム的に言えば耐性か?

 もしかしてこの世界、なにかと戦う系か?

 

 上から見直してみると

 

・身体

→筋力 弱

→柔軟 弱

 

・知性

→学力 弱

→知識 弱

 

・判断

→反射 弱

→思考 弱

 

・根性

→精神 弱

→物理 弱

 

・運

→幸運 弱

→良縁 弱

 

 

 ……。

 いや、こういう想像はキモいかもしれないが、もしかしてギャルゲの世界に転生した?

 

 いや、まぁ、ギャルゲと決まった訳ではない。人生でステータスを表すならこんな感じだよな、うん。

 

 次に、根性って必要なんですか???どういう場面で必要になるんですか?

 もしかして超能力とか超科学があったりしない? 仮にギャルゲだったとして悲惨なバッドエンドとかないよね? 野球ができるギャルゲみたいに……。

 ほんと、鬱展開だけは苦手だからやめてほしい。

 

 自殺したり、悪辣プロデューサーに騙されてAV女優になってしまったり、人の形を失ったり……うぅ……。

 

 

 ……パワーだ。パワーこそ全てを解決する。ステータス爆上げしたら恋愛に発展しなくても鬱展開をなんとかできる……可能性がある。まだ2歳児だ。高校3年間どころか今からコツコツ上げていけば鬱展開があったとしても打破できる可能性が高い。

 

 このステータス的にないとは思うが、仮にバトルものだったら時短になるから、呼吸とか気とかを意識してみよう。根性の精神上げるのに瞑想とか良さそうだし、ついでにできるだろうし。

 

 

 まぁ、全て杞憂で平穏に過ごせるかもしれないしな。

 人生ゲーム的な、より良い人生を目指そうな世界観に転生したかもしれないし……。

 

 

 

 如何にステータスを伸ばせるかと、親や保育園の先生方にバレないように脳内計算や瞑想、筋トレをし続ける日々。まぁ、多少怪しまれてる可能性があるが、父さんはシングルファザーで疲れ果ててるし、保育園は大人しい子供たちには意識を向ける余裕がないしで色々やる暇をつくることができた。

 そんな日常生活を過ごしているうちに大きな出来事が起きた。

 それは─────

 

 

「にぃに!」

 

 

 妹ができたことだ。

 といっても血は繋がってない。母さん……徳佳さんの連れ子だ。名前は姫架ちゃん。

 

 最初こそ姫架ちゃんが人見知りを発動してたが、優しくしたら……うん、優しくしたら好かれるようになった。

 

 

 なんで義妹に優しくしたらエフェクトがでるんですかねぇ……。

 

 

 うん、ここはほとんどギャルゲの世界で間違いないだろう。

 多分よくいる義理の妹が恋愛対象の作品の世界なんだろうが、可愛い妹ができてお兄ちゃんとか呼ばれて好かれちゃうんかなぁ、って思ってたらこんなんだから複雑な気分だ。

 

 わざわざ嫌われにいくなんてしたくないので、できることはブラコン妹が出る作品でありがちな、兄を恋愛的に見てしまうようになるキッカケ的なイベントを踏み抜かないことだろう。

 普通の妹は何事もなければ兄に惚れない。恋愛対象に見ない。

 

 自然体に行こう。

 可愛い妹の前で格好つけたい気持ちはあるが、それで踏んだら兄妹関係が崩れる可能性がある。情けない面を見せるくらいがちょうど良い。

 

 

 うん、姫架ちゃんからエフェクト出た時はどうしようかと思ったが、なんてことはないな。そもそもギャルゲのようなステータスとエフェクトが見えるだけで、絶対に惚れられると決まった訳ではない。ギャルゲ主人公ですら好感度が足りなければ惚れられないんだから、現実で陰キャの俺が惚れられる可能性なんて低いでしょ。

 ……いや、それなら兄として格好つけた方が……?

 

 

 明後日の方向に思考が逸れていったが、後々もっと考えておけば、と後悔することになる。

 姫架が入学前後からにぃにのお嫁さんになると言い出し、そのままアニメや漫画等に出てくるようなブラコンキャラ並みのブラコン妹に成長していって、将来的にどうするべきか悩むことになることなんて、当然、この時の俺は予想だにしていなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る