生活魔法士リリの冒険(カクヨミ版)

maruki

第1話 ぷろろーぐ

「知らない森です。」

どこにでもあるような、セリフが出てきました。

森なんて、どこも同じような所なのになぜに知らないとわかるのでしょうか?

答えは、簡単です。みたことのない生き物がいるからです。


こんにちはリリ、10歳です。

ただいま、絶賛召喚されました。


「使える魔法は、生活魔法とアイテムボックス」


漫画とかでよくある、質素な神官服の結構イケメンのお兄さんが水晶に浮かび上がった文字を読み上げています。


告げられた事実に、私は少しだけ胸を張ります。生活魔法はレベルMAX、魔力も人並み以上。これはきっと、すごいんだよね。


え?もちろん、水晶には出ていません。たぶん、私しか知らないことだと思います。

ステータス画面とはありません。ゲームじゃないんで、


いずれにしろ、スキルがレベルマックスってのはすごいことだと思います。


しかし、その場にいた神官や騎士たちの反応は、予想とは全く異なるみたいです。


「生活魔法だと? 戦闘にも役立たない、そんなものでどうしろと!」

「アイテムボックスは便利だろうが、それだけでは戦力にならぬ。我々の求める勇者ではない」


ちなみに召喚されたのは、私だけではないようです。

ちょっと離れてところでは、金髪の男の人がなにやら騒いでいます。


あれ?もしかして

「お呼びでない?」


神官さんはだまって頷きます。


そして、両腕を掴む騎士さん。


「放り出された、かぁ……」

ここで、冒頭にもどります。

窓のない馬車に乗せられて、数時間、下ろされたのは人気のない森の中です。

どうしろと?誰か、説明ぷりーず!


途方に暮れるわたし、つぎはぎだらけの粗末な服と、使い込まれた長い杖。そして、髪の毛に一房だけ混じる銀髪が、風に揺れていました。

容姿を見るとまるで別人です。


うん、でも結構可愛いかもです。

あう、自分で言っちゃいます。


そう言えば、私はどこから召喚されたのでしょうか?

「10歳?もっと年上だったような気がする」

あれ?

おかしいですね、前の場所の記憶がありません。


でも、別の世界にいたことはわかります。おかしいですね、ま、そのうち思い出すでしょう。


残念ながら、異世界定番の記憶チートもないみたいです。

別に不便はありません。


「まあ、いっか! 生活魔法レベルMAXだし、アイテムボックスもあるし!なんとかなるっしょ。」


そう呟くと、アイテムボックスから、使い慣れたクッキングツールと、新鮮な食材を取り出しました。森の恵みを活かし、美味しい料理を作るです。

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