第4話 終章
翌日、不破茂蔵は官邸で正式に退陣を表明した。
その日のニュースは、「不破総理、政権を投げ出す」「政治空白への懸念」と連呼する。ワイドショーでは「このままでは株価が……」とテロップが踊り、専門家が語る。
「海外投資家は政権の安定を見ています。不透明感が続けば、株価は下がるかもしれません」
解説は日曜を埋め尽くした。だが――月曜。
株価は700円、上がった。
テレビは笑顔で言った。「市場は、意外にも冷静でした」
その日、国民の大半は「不破が辞めた日」ではなく、「大泉が動き出した日」として覚えていた。
側近はニュースを見ながら、あの夜を思い出していた。
「いつか国民は理解してくださいますよ」――心にもない、全くない言葉。
つい言ってしまったばかりに、男はやる気を出し、そして走り出し、やがて倒れた。
ただ、それだけのことだった。
あいむ総理〜 日本はどうなるの? 相田 翔 @sosakukenkyusyo
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