第2話 織田仁誠から織田信長へ

1544年(天文13年)5月12日 


10歳の誕生日を迎えた織田信長。​



運命のイタズラか、はたまた神の采配か。俺は戦国時代の織田家嫡男、織田信長として生まれ変わった…と言うより転生と言うのが正しいのであろう。



​前世は陸上自衛隊トップの陸上幕僚長・織田仁誠おだじんせい。東京江東区出身、織田家の血筋を引いている。



現代日本の防衛を担ってきた俺が、この時代で凡庸な人生を送って、本能寺の変で命を落とすなど冗談じゃない。



神に?与えられたこの機会、令和6年で56歳まで生きた知識をフル稼働させて、この退屈な歴史を塗り替えてやろう。



それにはなるべく早急に天下を平定し、俺の手でアジアを守らねばならん。



最低でもアジア諸国連合を結成して、ヨーロッパ列強の植民地主義に立ち向かえるようにする。



◆□◆



​「珍しいな吉法師。お前の方から儂に相談があるとは?どんな風の吹きまわしだ(笑)」


「…はい父上、それが今朝の夢枕に源頼朝みなもとのよりとも・鎌倉幕府初代征夷大将軍様がお出でになり、いろいろと授けてくれました。」



​俺の突飛な言葉に、父・織田信秀は興味深そうに眉を上げた。



​「鎌倉殿が?!……良かろう何を言われたというのだ、吉法師」


​「はい織田信秀、つまり父上が日本を統一なされば織田家の繁栄は約束される、と」



​信秀は腕を組みニヤリと笑う。


「…日本統一だと。お前には大それた事のようには聞こえぬのか?」

「いえ。鎌倉殿はこうもおっしゃられました。(まずは富国強兵を進めるため急ぎ富国を、経済を発展させよ)と。」



​信秀の目が好奇心に満ちた光を帯びてくる。



​「その経済発展とやらの具体的方策など?お前はどうするつもりだ?」


​「鎌倉殿いわく道路の拡張整備、それによる流通網を発展させれば、尾張に物凄い数の商人が集まると、そこで(楽市楽座)なるものを行えと。」


?何だそれは?」



*****

史実では南近江の守護大名・六角定頼が1549年、観音寺城下の石寺新市で楽市令を発布している。歴史マニアの織田仁誠は全て記憶していた。

*****



「誰もが自由に商いをできるようにする事だそうです。そうすれば人が集まり物が動くと。


父上の領内では織田信秀商社なるものを立ち上げ、陸上運搬、河川輸送を商社で独占する。


酒と油・塩等を作り、楽市楽座で領内に訪れる大量の人達を相手に売りなさい、と申されました。」


​「確かにそのやり方は売上げ利益を上げるだろうな。しかし今いる商人が音を上げるぞ、泣き言をいうのはまだしも、儂を裏切ろうとする奴も出てくる。」



​信秀は俺をじっと見つめ、思案するように顎髭を撫でた。



​「……まだその件は他言無用だ。実行するなら一気にやるしかない。但し道路の拡張整備に流通網の発展か……軍事的にはどうかとも思うが、その経済発展とやらには必要ではあるな。」


「では、現場監督はそれがしにお申し付け下さいませ。」


「まだ10歳か……早めに元服を済ませれば問題は無いな。良かろう直ぐに元服の儀を執り行う様に計らう。」



ここが勝負どころと転生信長は父親に二の矢を放つ。


「鎌倉殿は陸だけでは無く海へ目を向けろと仰せになりました。」


​信秀は驚いたように目を見開いた「何のためだ?」


​「尾張の兵士や人民を使い塩を造るようにと。その製造方法も聞き及んでおります。

それともう一つ、大規模漁業で操船技術を学ばせるようにとも」


「操船技術?舵取りのことか?」


「鎌倉殿が仰せられるには、大規模な船を操ることであると。

船の進路、速度、方向の制御、目的地まで自由自在に航行させる、南蛮渡来の操船術だと…」


「南蛮だと!!………吉法師よ、言伝では詳細が分からぬ。鎌倉殿の話が誠と申すなら、事細かに文書として提出せい。家臣団を納得させるのが肝心だ。儂は作り話とは思うておらぬ、明日迄に出せるか?」


「既に書き終えております、これを。」



信長は隣に置いていた包みを開き、A4用紙にびっしりと書いた書類を小姓に渡す。

それを見た尾張の虎・信秀の表情が驚愕に染まった!



『細かい図解入りの文書。この時代では考えられない特上質のA4コピー用紙に、色鉛筆で分かりやすく色分けもした。流石の父上も声すら出ないようだ(笑)つかみはOKだな。』


───

【転生三刀流プレイヤー】

全ての高校球児に捧げます。

作者の作品、クリックして読んで下さい。

↓↓↓

https://kakuyomu.jp/works/16818622176638265113

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る