公爵令嬢は死に戻る②

まずは魔法の勉強だ。

以前の私は魔法をあまり使えなかった。

魔力は十分にあった。だけど「公爵令嬢が魔法を使うなんて」と言われたので勉強をさせてもらえなかったからだ。

言わんとすることはわかる。

公爵家の人間は人に指示をする立場であって、自ら何かをするものではない。

でも、今は違う。自分を守るのは自分だ。

腕力に男女差はあるが、魔法の強さに男女はない。私でも身に付けやすい力といえば魔法になる。


年端もいかない子供が、図書館で片っ端から魔法の本を読み漁る姿を見て、家族が本心ではどう思っているのかは知らない。

文字の読み方すらまだ習っていないはずの幼子が、大人でも苦労するであろう本を机に広げて、一心不乱に読んでいる姿を見て、どう思っていたのだろう。

不気味に思ったのか、それともその才を誇っていたのか。

父は後者だったのだろうけど兄は前者だったようだ。兄は私に近づきもしなくなった。

水の魔法に適性があることはわかっていた。教師が付けられると、もともとの才能なのか教師も家族も驚くほどの速さでその才を伸ばしていった。

治癒魔法に至ってはすでに教師が教えられるレベルを超えた。

水魔法の派生する氷系の魔法もかなりの高レベルの魔法を使えるようになった。

ここまで六年かかった。

高レベルの治癒魔法が使えるようになったので次の段階に進むときだ。


この頃になると、子供らしい可愛らしさのない私よりも、二つ年下の妹を両親も兄も溺愛するようになった。

悲しいかと言えば悲しい。大人しくしていても、どうせ私に愛情を注ぐことはなかっただろうし、最後には私を裏切るであろう連中だ。

お金と力を出してくれるなら文句は言うまい。

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