謝罪をめぐる独白
秋野 叶真
第1話
私は謝ることが苦手だった。昔から基本的にはいい子でいようとしたし、それはたいていできていた。だからなのか、自分が悪いことをしたと認めるのを頑なに拒んでいた。自分が悪いと受け入れられないから謝れない。
でも、考えてみれば謝罪に誠実だったとも言えるのかもしれない。謝ろうという誠意がないときは謝らない。いや、ただ自分が間違ったことを受け入れられない完璧主義が出ていただけなのかもしれない。
他人に謝られたとき、私はどう思うだろうか。個人的には、言葉よりも態度で示してほしいと思う。態度というよりも、やっぱり行動かもしれない。そして、謝ったからといって許されようとしないでほしい、とも思う。許すかどうかは、許す側に任されている。許せないことは許せないし、許す必要もない。
むしろ私は、許さないことで相手に一生負い目を感じさせたいのかもしれない。「謝罪したんだからいい加減許してくれ」と言われても、謝罪をしたくらいで許されると思うなと考えてしまう。逆の立場なら、相当に厄介な人間だろう。面倒だ。
それでも、謝罪しなければならないようなことをしてしまったなら――それは仕方がないことなのかもしれない。
謝罪をめぐる独白 秋野 叶真 @akino_kanoma
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