第3話 息抜きの余波
「殿下、先日の北方前線における戦闘の報告書が上がりました。本日の息抜きはこちらを読まれては如何でしょう。」執事のウィーズリー・セバことウィズは勉強が一段落ついた段階でそう切り出した。
「珍しくあなたから息抜きの提案があるとはね。何かあるのかしら?」第2王女、マリアンは笑顔で探るように尋ねる。
「深い意味は何も。殿下の息抜きに私の魔法を酷使されるのも大変なのです。」
「あなたがその程度で疲れる訳ないでしょうに…けど報告書は気になるわね、拝見しましょう。」報告書の冊子を受け取り、軽食をつまみながら読み始める。
「特に問題も面白みもない普通の報告書ね…ん?こっちは別のレポート?作成者は魔法協会…ってことは…」
「はい、先日の魔方陣について構築術式等々質問が山のようにあるそうです。空間魔法展開、拘束範囲指定…完了。では協会のお歴々とお仕事のお時間です」フフフと思わず笑みがこぼれるウィズ。マリアンを上手く出し抜けたことに満足した。
「はぁ…いいわ、これはこれで楽しいからね、夕食はさっぱりした物にしてね。今日は体を動かす用事があまりなかったから。」
「かしこまりました、殿下。」
「マリアン殿下、本日はご機嫌麗しゅう。」ウィズと入れ替わりで勉強部屋に入って来たのは魔法協会の重鎮、ソーマ伯爵夫人である。
「ごきげんよう、伯爵夫人。この前あなたが書いた長距離への範囲指定に関する考察レポートを参考にしてたら素晴らしい成果が出ました。」
「本来ならば拡散ではなく収束や誤差の補正に使うための考察でしたのによくm…コホン、応用がこんなにも早くなされるとは夢にも思いませんでした。」ウフフフフ、アハハハハと和やかな見た目と裏腹に本音はでは
「面白かったから早く新しいネタくれ」
「簡単に応用とかされるとこっちのプライドが傷つくし普通の運用からやってくれないと参考にならん」と面白半分で関わるマリアンと真剣にやってほしい協会員の水面下での交渉が始まっていた。
「本日はこの場を設けていただき、ありがとうございました。またよろしくお願いいたしますね。」聞きたいことを十分聞けたソーマ伯爵夫人は満足そうに帰っていった。
「終わったようですね。それでは拘束解じ…おや、術を解いていたとは。」
「当たり前でしょう、強制的に固定とか体に悪いし、あなたも術式の保護なんかしてないじゃない。」マリアンは座りっぱなしで凝り固まった体をほぐしながらウィズをにらみつける。
「これは失礼を。まぁ息抜きで派手にやればその後始末も責任もってつけるのが大人ですよ、殿下。」マリアンはウィズの言葉に苦い顔をした。
王女殿下の息抜き日和 田奈涼 @ultlive
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。王女殿下の息抜き日和の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます