───

塾の帰り道。


後ろから走ってきたサラリーマンが、慌てた様子で横断歩道を渡る。 何も考えていなかった。


私も釣られるように一歩前へ踏み出す。


気づいたら道路の真ん中で、間近に迫るクラクションの音で現実に引き戻された。後ろから、腕を引っ張られる。


「何してんの!!!」


友達が真っ青な顔をして、私の腕を掴んでいた。 信号はまだ赤色だった。


私は、今、死の瀬戸際に居たのだ。 冷や汗が、私の背中を伝った。 友達が心配そうな顔をして私を見つめる。


「ごめん、ありがとう」


何に対してかはわからないが、少し、残念に思った自分がいた。


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