6話 殺風景な景色

部屋に入ったのはいいが、壁には犬の仮面が飾られていた、そしてお布団が敷かれていた、生活感がないのはどうしてなのだろうか?

「ねぇ、家具とか置かないの?」

「家具ね、買う金がないんだよねぇ」

「なら食費とかはどうしてるのよ」

「カジノでの収益で何とか」

カジノね、未成年は入れないはずだが……17歳ってのは嘘なのか?

「今、私の年齢、詐称しているって思ったでしょ」

「どうしてそう思ったんだ?」

「心を読むレガリアで読んだ、今お母さんはカジノで働いてるんだ」

「へぇ、バニースーツに身を包んでか?」

「そんなハレンチな服、着ないよ、スーツだよ」

「スーツね、女の人はバニーガールとして働くって聞いたことがあるが、偏見だったのか?」

「そんな偏見持たれがちだけど、好んで着る人は少ないんだよ」

かるの心が全く掴めない、何か取っ掛かりがあれば……

「そういえば、スタジアムに行ったことある?」

「スタジアム……サッカーか何かをやるのか?」

「いいや、とある競技を見に行こうよ」

「でも金がないんでしょ」

「あっ、そうだった」

私は素朴な疑問をぶつけた。

「話は変わるが、あそこの壁にある犬の仮面、何なの?」

「あー、話せば長くなるけど、どうする?」

「できるだけ端的に」

「端的って……いいよ、カードゲームで戦いあって殺し合いをするんだ、まぁ、最後はハッピーエンドで終わらせたけどね」

「本当に端的だな、もっと詳しく」

「端的にって言ったのはあなたよ、しばくよ」

ぶつくさ言いながら詳しく話し始めた。

「最初はね、何も分からずカードゲームをさせられたんだ、そしてどんどん中身が見えてきてね、流れの裏を突いてそのゲームを壊したわけ、ちなみに私たちがここに来た時、あなたの後ろ姿が見えたんだ」

「後ろ姿……見せたっけ」

「うん、駐車場みたいなところにいたじゃないの」

(駐車場……あの時、後ろから来た車に乗っていたのか……?)

「そうそう、その車」

「ねぇ、私の心、ズカズカと読まないでくれる?」

「考えてることを見たら楽しくてつい」

その時のかるの顔は、少しだけ寂しそうな顔をしていた。

「寂しそうな顔をしてるね」

「……あの選択でよかったのかなって、今でも後悔してるんだ、アイツを殺してもよかったのかなって」

「殺人か、後悔のない殺しはないっていう言葉をやるよ」

「後悔のない殺人はない……か」

かるの顔には涙があふれていた。

「えっ、泣かせた?」

「いいや、後悔のない殺人ね……」

そう言って一枚の写真を取り出した。

「……ごめん」

その写真は集合写真だった、だがかる以外のクラスメイトの顔には×が書かれてあった。

「この写真がどうかしたの?」

「……34人……私の手で殺したんだ……今でも、後悔しているんだ……」

そう言ってボロボロと泣き始めた。

「でもね……あいつらも悪いんだ……」

どうやらクラスメイトの間で何かいざこざがあったようだが……私が知っても、何の役にも立たない。

「もう、いいんだ」

「……出来れば、墓に行きたいな、でもあのメカメカしい奴らに壊されてるかも」

「じゃぁ、行こう、その墓に」

「でも私は戦えないよ……?」

「いいんだ、奴らは私一人で十分だから」

私はそう言い切った、だが兵装がちょっとだけ不十分だ。

「ちょっとだけ銃器屋に案内してくれ、こんな世界だ、どこかにあるだろう」

「いいよ、連れて行ってあげる」

そうして私はかるの家を出て、銃器屋に向かった。

「しかし、あなたの武装って、リボルバーなのね」

「これはな、思い入れのあるブツなんだ、何にも代えがたい代物だ」

そうして私はこの武器を手に入れたことを思い出した。


(……これは何だろう)

私が見つけたのは古びたリボルバーだ、使うのはちょっとためらうが、背に腹は代えられない。

(弾は6発装填できると、使い勝手は良さそうだな)

そうして私はリボルバーを手に、廃墟を後にした。

(でかいメカトロンがこっちに来てる、これ死んだな)

その時、リボルバーから謎の光が出てきた、そして時間が2秒ほど、止まった。

(……何だこの……不思議な感覚は)

私は巨大なメカトロンに向かって弾丸を放った、そして時が動き出した時、弾丸はメカトロンに向かって一斉に飛び始めた。その感覚は、誠に奇妙だった。


そうして銃器屋の前に着いた。

「さて、ここが銃器屋だ、入るぞー」

私は銃器屋に入っていった。

「いらっしゃいませー……ってかるちやんか!!!」

ゴリゴリ大阪弁で話す少女がいた、暑苦しい。

「紹介するよ」

「ええで、ウチは月宮翠、スイちゃんって呼んでや」

「要約すると私は月宮翠、スイちゃんって呼んでねって事、分かった?」

「なんでウチの話す言葉は外国語やと思うんや」

「だーもう、ペタペタとくっつくな、明石焼きでも食べとけ!」

「明石焼きとタコ焼きはちゃうんや!私はタコ焼き派や!」

月宮とかるはそんな会話をしていた、私はリボルバーを見てちょっと邪道な考え方をした。

(あれ、二丁リボルバーはもしかしてのもしかしてなのか?)

そんなことを考えていたら月宮が私のリボルバーを見た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る