ひとりぼっちのヒーロー
欠陥品の磨き石 磨奇 未知
第1話 僕の居場所はないのだろうか…
「なんで周りは僕を君悪がるんだ?」
昼休み、僕は学校の屋上で一人ご飯を食べる。
泥や葉っぱが身体中に付着しており、まるで自然の衣を纏っているようだった。
汗と自然の衣が混じった独特の腐敗臭を漂わせながら僕は屋上の柵から景色を見下ろす。
ブ〜ン
一匹のハエが音を立てながら僕の周りを飛ぶ。
右往左往に飛び交いながら独特の音色を奏でる。
「いつも僕の周りに来てくれるのはお前だけだよ…」
僕はハエを眺める。
ハエは自然の赴くままに自由に空を飛ぶ。
「唯一来てくれるのがハエって…
僕が臭いのは充分わかってるよ…」
ハエで喜んでしまう自分に僕は自分が嫌になる。
僕はもどかしい顔をしながらハエに手を伸ばす。
ハエは何も言わずにそのまま空に消えていく。
羽を微細に振動させながら空に消えていく。
「お前は僕と違って自由だもんな…」
僕は俯きながら静かに呟く。
僕は賞味期限切れの菓子パンをカバンから取り出す。
包装には半額シールがデカデカと貼られていて、光沢を放っている。
お金がない僕は毎日、閉店間際のスーパーに訪れて、
値引きされた食べ物を手に入れる。
それを学校に持ってきては一人屋上で貪るのが僕のルーティーンだ。
「今日はナポリタン味か…
まぁまだマシか。」
僕は封を開けると一目散にかぶりつく。
屋上からは楽しげに会話をしながら弁当を食べる同級生の姿がよく見える。
僕にとっての食事は生きるための行為だが、
彼らにとっては違うんだろうな…
僕は心の中でそう呟きながら、咀嚼を繰り返す。
同級生の楽しげな会話が朧げに耳に届く。
お弁当の中身をそれぞれ交換しているみたいだ。
「本当に必要なのは一緒に食べてくれる人なんだろうな…
あいつらは何を食べても幸せに感じるんだろう。」
僕は溢れそうな涙を必死に堪えながら、地面に座り込む。
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