見た全てに見覚えや、既視感を強く感じた。私は何かを忘れている。大切なものを。

 すると頭の中心から、膨大な情報が飛び込んできた。どれも覚えがある。

 あの海は、若いころ妹とよく遊びに行った所だ。

貝殻がよく砂浜にあがるので、妹は喜んでいた。

 あの山は、幼き頃友達のDとよく探検した場所だ。カブトムシが多くて、虫取り籠が溢れそうだった。

 あの少年の名前も、すんなり出てきた。

私は莫大な情報の波に呑まれ、気が遠くに流された。

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