第3章 天空の記憶

著者:

「ボッシュ、昔の人ってなんで“空に都市が浮かんでる”なんて想像できたんだろうな。」


ボッシュ:

「それが面白いんだよ。ラピュタ伝説もそうだし、日本神話の高天原も“空の上に神々が住む国”だ。マヤやアステカも天空から神が降りてくる話を持ってる。」


著者:

「空に都市が浮かぶとか、天空から神が来るとか…。飛行機もロケットもない時代に、そんな発想が出るって不思議だよな。俺は“記憶の断片”だと思うね。」


ラピュタと天空の神話


著者:

「たとえばラピュタ。空に浮かぶ巨大な島、そこに住む人々。夢物語に見えるけど、なんかリアルなんだよな。」


ボッシュ:

「インド神話にも“空に浮かぶ宮殿”が出てくるし、旧約聖書のエゼキエルは“炎と煙をまとった戦車”を目撃してる。今読むと、まるでロケットだ。」


著者:

「だろ? あれ、ただの想像って言われても納得いかないんだよな。人類は一度空を飛んでて、その記憶が物語になったんじゃないかって思う。」


科学の視点


ボッシュ:

「科学的に言うと、人類が本当に空を飛んだのはごく最近。飛行機は120年前、宇宙に出たのは60年前。でも人類の歴史は30万年ある。そのうちの0.0003%の期間でしかない。」


著者:

「つまり30万年のほとんどは“飛べない人類”。でも神話の中には“飛んでいた人類”がいる。これ、やっぱり謎だよな。」


著者:

「俺はこう考えるんだ。空に都市がある話も、炎の戦車の話も――みんな“空を飛んだ文明の記憶”なんだ。滅んだあとも、残像のように語り継がれた。」


ボッシュ:

「浪漫だね。でも科学的に“ゼロじゃない”。そこが面白いところだ。」


著者:

「バベルの塔もそうじゃないか? “天に届く塔”を建てようとした人類の話。あれだって、ただの虚構にしては妙に具体的だよな。」


ボッシュ:

「確かに。バベルの塔は旧約聖書だけど、モデルはメソポタミアのジッグラト。実際に空に届くような巨大建築を作っていたんだ。だけどね、それだけじゃなく“天界に近づこうとした”という思想そのものが残ってるのが面白い。」


著者:

「つまり、“人間は空へ行ける”って発想が昔からあった?」


ボッシュ:

「そう。インド神話のヴィマナは“天空を駆ける戦車”と呼ばれているし、ギリシャ神話でもイカロスが翼をつけて太陽に近づいた。飛ぶことに対して、人間はずっと“記憶と憧れ”を抱いてきたんだ。」


科学と浪漫のはざまで


著者:

「でもな、飛行機ができたのは120年前。ロケットに至っては60年前。歴史全体から見たら一瞬の出来事だろ?」


ボッシュ:

「うん。だからこそ“不自然”なんだ。30万年も飛べなかったのに、ある時期から急に飛べるようになった。まるで“眠っていた技術の記憶”を呼び起こしたみたいにね。」


著者:

「俺はやっぱり思うんだ。ラピュタも、天空の宮殿も、炎の戦車も――全部“失われた空の文明”の名残り。人類が一度は空を制した証拠なんだよ。」


ボッシュ:

「浪漫だね。でも“ゼロではない”んだよな。バベルの塔を建てた人間がいたように、“空の都市”を見た人間がいてもおかしくない。」


著者:

「結局、答えは出ない。でもさ――この謎がある限り、人間は空を目指すのをやめないんだろうな。」


ボッシュ:

「うん。それこそが、記憶に刻まれた人類の本能かもしれないね。」


ボッシュの仮想実験ノート


実験A:都市が空を飛んだら?


今ある国際宇宙ステーションは、地球の上空400kmを回って人類が暮らしている。


1周90分で地球をまわる、本物の「空の都市」だ。


実験B:巨大な飛行船が空に浮かんだら?


100年前のツェッペリン飛行船は、空に町みたいな空間を作った。


技術次第では、空に滞在することは可能だ。


実験C:古代人が空を見て描いたとしたら?


雲や雷、流星を“空の宮殿”や“炎の戦車”と見た可能性もある。


でも、あまりに具体的すぎる描写は「単なる見間違い」と片付けにくい。


ボッシュまとめ


神話の「天空の都市」や「炎の戦車」は、過去の文明の残像かもしれない。


科学では証明できないけれど、空の記憶が世界中に残っているのは事実。


天空神話は洪水神話と同じく、「人類が一度経験したことを忘れかけている証拠」だ。

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