死んだはずの私
ぴんくのーと
死んだはずの私
私は自分のことが大嫌いだ
偽物の笑顔ばっかり振りまいて
いつも誰かに気を配って
広く浅くの人間関係しか作れなくて
信頼できる人なんかいなくて
それなのに周りにはいつも誰かいる
そんな自分が嫌いだ
だから私は死んだ
17歳だった
「3組の
「うそ〜」
「ほんとだって」
「そんなふうに見えないよ」
「俺もびっくりだ、あんな明るいのにな」
みんなにはそう見えてるんだ私
いつも明るく振舞ってるだけで明るいわけじゃない
「それで飛び降りてどうなったの??」
「今入院してるらしい」
「生きてたんだ良かった〜」
私が死んだことまでは知らないみたい
最初はまさか自分が幽霊になるなんて思わなかったからびっくりだわ
でもみんなのこと俯瞰して見れるから最高
気楽に生きれる…ってもう死んでんのか
「明日窓野のお見舞い行こうぜ」
「いいよ」
私死んでるんだよ?
みんなまだ気がついてないの??
1ヶ月も経つのになんで?
「お見舞いに来たぜ〜」
「みんなありがとう」
え?は?
なんで私が生きてるの?
どう見ても私の顔だし声だし
え?死んだはずじゃん?
あの人は誰??
「
「大丈夫だよ、本当にみんなありがとう」
「いいって、無理せず休んどけ」
「うん」
また笑顔振りまいて気持ち悪い
どうしてなの
なんでまだ生きてることになってんの
「また来るからね」
「ありがとう、気を付けてね」
「じゃ」
やっと帰ったか
これからじっくり観察しないとな
「窓野夕日さん、私に体をくれてありがとう」
私が見えてるのか?
しかも体をくれてってやっぱり中身は別人か
「私はあなたが飛び降りた日と同じ日に交通事故で死んだというのに誰も興味を持ってくれなかったの、それどころか私の事なんて最初から居なかったかのように扱われたわ」
「あなたは誰?」
「やっぱり幽霊って声が出せるのね、私は
「1組の子だよね?」
「覚えてくれてありがとう」
「どうして私の体の中に入ってるの?」
「あなたは私と同じ病院に運ばれてきた、その時にはもう私は死んでいて幽霊になっていた、そしてあなたが運ばれてきたのに気がついて、あなたに手を伸ばして掴んで引き抜いて入ったの」
「え?」
「大丈夫だから、私はちゃんとあなたになるから、あなたを見てきたからできるよ任せて」
「やめて…私を勝手に使わないで」
なんでだろ、涙が出てくる
私の目の前にいるのは私なのに私じゃないことがこんなにも悲しいなんて
自ら自分を捨てたのに
「これから私はたくさんの友達を作ってたくさんの恋をして大人になっていくの、私はこれから幸せになるの」
「いや、やめて
私の体を使わ」ないで
「あんまり聞こえないよ?幽霊って成仏するとか言うけどこんなに早いとは思わなかった」
「▼■◎●□▲◆○△◆▼□■◆▽▼◆」
「もう何言ってるかわかんないわ、おやすみ」
ハッピーバースデー
「夕日20歳の誕生日おめでとう」
「みんなありがとう、これからもよろしくね」
ガンッ
「え?」
「夕日?大丈夫か?」
「頭から血が出てる…いきなり花瓶が降ってきて、え?」
「いいから救急車」
やっとこれで成仏できる
まさか悪霊になるなんてね
ものを操るまでこんなに時間がかかるとは思わなかった
てか悪霊って成仏できるんだっけ?
まあいいか
今度は私の体に何度も触れてきた彼氏を殺すか
でも可哀想だな
小学校の頃から私のこと好きで本物の私だと思って付き合うとか
それで殺されるとか残酷
ごめんね
私の初恋の人
死んだはずの私 ぴんくのーと @pink0116
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