〜ギャル姫編〜 第8話 噂話
エラちゃんに宣戦布告された夜、いつもは空と二人で通話しているけど、今日は綾と尚弥を呼んで四人で通話することにした。
「ごめん!昼休みに話した作戦、なしにしてほしい」
誰に見られるわけでもないのに手を合わせてお願いする。
「俺は構わないけど、良いのか?」
「うん、やっぱり私が頑張らなきゃって思ったから」
考えるまでもなく空を狙ってる女子は多い。今日エラちゃんと話して再確認できた。だったら彼女だからって、余裕かましてる場合じゃない。
愛想を尽かされないように好きでいつづけてもらう努力をしないと。
「じゃあ、教室でも話していいの?」
「うん、なるべく前と同じようにするから!」
「そっか、嬉しい!でも俺も気をつけないと、ニヤニヤしないように」
どうやら空は喜んでくれているようだ。
せっかく勇気出してくれて告白してくれたのに私のせいで、あれもダメこれもダメじゃあまりに酷だ。
「でもさ、最初はうまくできないと思うんだ。だからもし、疑われたら、その時は綾と尚弥に力貸してほしい」
「まかせて!私と尚弥は、空&恵梨香応援隊だから!」
「何だそれ!?初めて聞いたぞ!」
綾と尚弥は、入隊した覚えはないだの、名前がダサいだの言い合って通話を終わった。
エラちゃんとはまた友達に戻りたい。でも、今一番大切なのは空だから、私だって負けないよエラちゃん。
翌日
今日こそは、空とちゃんと今まで通り普通に話す!人生で一番気合いを入れて登校した私は珍しく私よりも早く登校した空を見つける。正確には空の周りに出来た人だかりで姿は見えないが声で分かった。
先週の復帰後初登校の日と同じぐらい囲まれている。何かあったのだろうかと不思議に思った私の耳に驚くべき言葉が飛び込んできた。
「本当は付き合ってるんでしょ〜」
「白状しろよ〜」
「スキャンダルってやつじゃな〜い」
マジで?バレてる?いや落ち着け、まだ噂程度だろう。ちゃんと否定すればいい・・・私の所に来ても落ち着いて対処・・・
「エラちゃんと付き合ってるんだよね!」
私じゃなかった・・・
えっ?でも何でエラちゃんと空が?そこまで考えた私は昨日のエラちゃんの言葉を思い出した。
『だから負けないよアンタには』
もしかしてエラちゃん、自分で噂を流した?
あり得る。空の周りの人の数が昨日の今日で流れた噂にしては多すぎる。エラちゃんメチャクチャ友達多いし一日でも広められると思う。
いやでも、それって何かメリットあるのかな・・・?
四姫同士で付き合うなんてビッグニュースなら別に誰でも広められるかも…決めつけるのは早計か…。
そんな事を考えていると噂の当人のエラちゃんが教室にやってきた。
「ごめんね皆、通してくれる?」
人混みを掻き分け中心の空のもとへ近づいていく
「空ちょっと今話せる?」
「灰野さん・・・うん分かった」
二人は教室を出てどこかへ向かった。教室に残された生徒たちの間ではまた噂話が飛び交っている。
「うわ~ついにエラちゃんに彼氏が!」
「そりゃあ出来るだろ。今までいなかったのが奇跡だよ」
「でも、空くんなら納得だよね」
「うんうん!超お似合い!」
誰が見てもお似合いだなんてそんな事は分かっている。私じゃ釣り合ってないって事も・・・
それでも、空は私の彼氏だって叫びたい。
言葉を押し殺すことしかできない事がもどかしくて、悲しくて、私の胸は締め付けられた。
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