つらなる秋

みぃ

影絵の、夜





風にのる金木犀の香りが

窓を叩くそんな夜

遠くで響く虫の音が

時を刻む

月明かりが障子に

影絵を映し出す

本をひらく

ページをめくる

物語の登場人物が

私に話しかけてくる



澄んだ空気に

金色の光がこぼれ

長い夜が終わりを告げる

ひんやりとした風が

頬をなでるたび

稲穂はさらさらと歌い

露をまとった草花が

静かに輝く

遠くから聞こえる

虫たちの優しいささやきは

夏の思い出をしまい

新しい季節の物語を紡ぎ始める

そうして

世界がゆっくりと

秋の入り口へと

歩みを進めていく

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つらなる秋 みぃ @miwa-masa

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