概要
何もせず、ただ在るだけ。けれど世界は、その環に救いを見た。
――俺はただ、動かない木の輪だ。
けれど人間どもは「加護」だの「慈悲」だのと祈り、勝手に神話を築いていった。
大阪万博の閉幕後、取り残された二キロの木の|環《リング》は、なぜか異世界に転生する。
動かず、ただそこに在るだけ。
それなのに洗濯物は「神の旗」に、パンは「聖なる膨らみ」に、虫の群れは「黄金の軍勢」になった。
人間どもが勝手に解釈を積み重ねるうちに、都市は興り、やがて魔王軍との戦いすら伝説に変わっていく。
これは、ただ立っていただけの輪が「世界を抱く神の|環《リング》」と呼ばれた、長き神話の物語である。
――なお同じ時代、同じ大地には“五日間だけ現れた嵐”の伝説もあったという。
けれど人間どもは「加護」だの「慈悲」だのと祈り、勝手に神話を築いていった。
大阪万博の閉幕後、取り残された二キロの木の|環《リング》は、なぜか異世界に転生する。
動かず、ただそこに在るだけ。
それなのに洗濯物は「神の旗」に、パンは「聖なる膨らみ」に、虫の群れは「黄金の軍勢」になった。
人間どもが勝手に解釈を積み重ねるうちに、都市は興り、やがて魔王軍との戦いすら伝説に変わっていく。
これは、ただ立っていただけの輪が「世界を抱く神の|環《リング》」と呼ばれた、長き神話の物語である。
――なお同じ時代、同じ大地には“五日間だけ現れた嵐”の伝説もあったという。
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