第5話 職場体験

面接が終わり職場の見学をすることになった。



利用者たくさんいるフロアに入ると活気と熱気で少しめまいがした。



様々な利用者が自分の思うがままに行動していた。


車椅子に乗っている方は比較的落ち着いている様子だが動ける方はフロアを走り回ったり大きな音を立てたり、はたまた水道水をガブガブ飲む方がいた。



コウイチ「しょ、正気の沙汰じゃないな...」


村瀬サビ官「そうでしょう、凄く個性的ですよね」

ニコニコと結託なくコウイチに話しかけた。


村瀬サビ官「うちは出来るだけ人並みにそして自由にを真っ当にこのように生活をして頂いています」

コウイチ「これが普通の生活ですか?」


村瀬サビ官「はい、彼らなりの普通の生活です。もちろん体が不自由な方は介助をして生活を手助けします」


コウイチ「そうですか、なんだか大変そうですね」

村瀬サビ官「ええ、大変です。意志疎通すらままならない方もいらっしゃいますから。それでも人並みに生活出来るように支援をするのです」


コウイチ「僕に出来るんでしょうか」


村瀬サビ官「できると思いますよ、コウイチさんは優しそうですから」


コウイチ「ありがとうございます」



すると体が一回り大きいてんかん発作持ち男の子が近づいた。


伊恵「すすすす、する!!する!!!する!!」

コウイチ「なにをするの?」

伊恵「塗り絵!!すすすすすすす、する!!!する!!」

コウイチ「え?どうぞ」


村瀬サビ官「伊恵さんここに座って作業をしてくださいね」


伊恵「やだやだやだやだ!やだ!!!やだ!!!」


そう言うと周りをウロウロと歩き始めた。



コウイチ「あのー、体が大きいあの方は?」

村瀬サビ官「てんかん発作持ちの自閉症の方なの。急に倒れたりするから注意しないといけないんだけどあの通り歩き回るから大変なのよ」

コウイチ「そうなんですね、あの車椅子の方は?」


青木「あらら~、ぷぷぷぷっ!あら~ふぇぇぇ~」


村瀬サビ官「身体障がいの女の子です、あららとかおっとっとって声の発音が好きなの。だから近くの支援員がその言葉を言って笑顔にさせるの。でも、気を付けて、急に髪の毛を引っ張ったり狂暴になるから」


コウイチ「分かりました、色んな方がいるんですね」


村瀬サビ官「そうですね」



杉下「お、面接の方ですね。どうぞよろしくお願いします」

コウイチ「よろしくお願いします」


コウイチは軽く頭を下げた。


杉下「どうですか、うちの施設は?」


コウイチ「まだ、なんとも...」


杉下「そうですか、入職したらよろしくお願いしますね。私の名前は杉下です、どうぞよろしくです」

コウイチ「よろしくお願いします」



村瀬サビ官「と、まぁこんな感じですけどイメージ掴めました?」


コウイチ「なんとかなく...とにかく生活の介助をしてあげればいいんですね?」


村瀬サビ官「そうですね、介助だけじゃなく楽しく過ごすために一緒に作業したりゲームしたり散歩もしたりしますよ」

コウイチ「色々やるんですね」

村瀬サビ官「そうですね、人並み以上に充実した日常生活を送るために日々試行錯誤をしています」


コウイチ「考えてみます。決まりましたらお返事致します」


村瀬サビ官「ええ、お待ちしています」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生まれが違えば好かったのに 100歳おじいちゃんと孫 @sin0066

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ