成長

「うーん……ここの回路が上手く働からない。ここをこう……動かせば、何とか行かないか?……無理か。まぁ、こんな小手先の事じゃ無理だよな……クソ、僕には作れないのか?超巨大ロボ。……無理か?ガン〇ム。いやいや、こんなところで諦めてどうするんだ。質量に限界がある理論はない。不可能ではないはずだ」


 師匠の元で魔法を学び出してから早いことで六年。

 僕は今日も自分が村の外れに作った工房でゴーレムを弄っていた。

 

「……むぅ」


 今、僕の前にあるのは巨大なゴーレムだ。

 20mを超えるおそらくは歴史上最も大きなゴーレムとなる。

 僕はそれを完成させようとここ一週間躍起になっていた。


「アーレーンッ!」


「んぁ?」


 今日も今日とて必死に作業を進めていた中で、僕は下から自分を呼ぶ声を聞く。


「……ちょうどいいか」


 その声が聞こえてきたタイミングはちょうどキリが良かったもあり、僕は素直に降りていく。


「今日もそれを使っているのね」


 僕を下から呼んでいたのずいぶんと綺麗に育ったイリスだった。


「まぁね」


 そんなイリスの視線の先にあるのは僕が乗っている一つのゴーレムだ。

 師匠から教わった鉱石の性質変化を活用して作った空飛ぶクッション。十二歳になっても僕の背丈は大して伸びずに140cm台。体の脆弱性も対して変わらず。

 そんな僕の足として、このクッションは欠かすことのできないゴーレムだ。


「ずっとそれを使って移動しているようじゃ何時まで経っても


「最近はちゃんと昼に外出ても気絶しないし、ある程度なら活動できる。ちゃんと成長しているよ!」


 昼間に外出ただけで気絶してしまった六年前からはだいぶ成長している。

 頑張っている方だよ。

 そろそろ外の世界に飛び出していきたいお年頃だ。一応、最低限外に出ていけるくらいの体力はついたかな?っていうのが僕の自己評価だよ。

 

「それで?僕を呼んだのは何?さっさと後ろのこいつを完成させたいから手短に頼みたいんだけど」


「手短にはならないよ。夕食の時間だよ」


「……もう?」


 あれ?僕がこの工房にこもったのは昼時で、それはついさっきのはず……夕食の時間にしては早すぎると思うのだが。


「もうとっくに日が落ちて夕でもなくなって真夜中よ。いつまでも貴方が帰ってこないから私がこうして呼びに来てあげたのよ」


「えぇぇええええええ!?」


 そんな!僕はまだまだこもり始めたばかりの感覚だというのに……クソ。また時間感覚を忘れ、熱中して魔法の研究に没頭してしまった。

 前世からの悪い癖だな。


「……毎回毎回驚かないでよ。結構頻繁にやっているのにしらじらしいのよ。まったく反省する素振りも何か改善に取り組もうという動きも見せていないのだから、起きて当然じゃない」


「へへっ」


 イリスの呆れたような言葉に対し、僕は誤魔化すように雑な笑みを返す。


「これ以上師匠たちを待たせるわけにはいかないよ。早く行こうよ。今日の夕食何?」


「ん-?なんだろ。そこまでは聞いてないなぁー」


 数年前から僕の家とイリスの家は食事時を共にしている。

 僕とイリスは共に並びながら、大きなこの村の村長宅へと向かうのだった。

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