村長
「ぬぅ。噂には聞いていたが、凄まじいな」
ゴーレムからの拳骨を受けてイリスが蹲っていた中で、僕の耳へと一人の男性の声が聞こえてくる。
「……村長?」
声がした方向に視線を向けて見れば、そこにいたのはこの村の村長であった。
「な、何でここに?」
「イリスが君と遊んでくると飛び出していったものじゃからのぅ……様子を見に来させてもらったのじゃ」
「……すぅ」
あれ?ヤバい?村長の孫娘さんの頭へと遠慮なしにゴーレムの文字通りの鉄拳を叩きこんじゃったんだけど。
「色々と言いたいことがあるのじゃ。イリスも年齢に見合わぬ実力者じゃと認めていたが、君はそれ以上。魔法の腕、作っているゴーレムの質。ゴーレムを操る術。そのすべてが高水準。天才などという言葉に収まぬレベル……色々なところに触れたいところじゃが、まずその指輪。ゴーレムじゃな?魔道具ではない」
「あっ、わかります?」
「あぁ、わかるとも。一般的にゴーレムのように自立して動く物体は、その魔法を込めるものに一定の大きさが必要になる。故に魔道具程小さなゴーレムを作ることはできないというのが通説じゃった。」
この世界には魔法を帯びた物品がゴーレムの他にも魔道具というものが存在している。
ゴーレムと魔道具。それは共に魔法が込められた物品だ。
この二つの違いは自立して動くか動かないかだ。日本人に分かりやすく伝えるのであれば、AIが搭載されているか搭載されていないか、になるだろうか?
ゴーレムは自分で思考し、動くことが出来る。
僕の指輪もそれが可能。
指輪単体で動いてもらい、何もないところから急にゴーレムを出して奇襲したり、なんてのも僕がよく行う手法である。
「だが、それは工夫を加えることで可能となることは儂が見つけ、本に残したのじゃ。お主の家にも
「えー!?あの著作の作者さんですかっ!?」
何だ、この村長!
トンデモナイ人ではないか!
あの著作は家にあった本の中でも自分の中でトップ5に入るほどの名著だった。まさか、その作者が存命でなおかつ僕の隣に住んでいたとは!
「ほっほっほ。しかと読んでくれていたようで……」
「家の中にあった本はすべて読ませていただいていますから!」
「……すべて?」
「そ、それで村長!鉱石の性質の変化はどうやって行うのですか!鉱石を柔らかくするにはどうしたら!?」
村長と言えば、僕の頭で真っ先に思いつくのは鉱石を柔らかくし、マッサージチェアを使っている姿だ。
「おぉ、素晴らしいところに目をつけるのじゃ……うむ。お主、わしの弟子にならぬか?わしもそう長くはない。自分の魔法の技術を受け継いで貰える人を探しておってじゃな」
「じ、自分で良ければぜひっ!」
「ホッホッホ!そう言ってくれると思っていたのじゃ!では、早速わしの部屋に来るのじゃ。お主の求める鉱石の性質変化をまず教えようぞ」
「おぉ~っ!ありがとうございます!」
自分でやっていてあと少しのところで停滞していた鉱石の性質変化を教えていただけるとは!
というか、師匠が出来るのがありがたい!
ぶっちゃけお父さんは魔法よりも剣に比重を置いていて、魔法の分野に関しては僕がもう追い越してしまっていたから、師がいなくて困っていたのだ。
「よし、行くぞ」
「はい!」
師匠が出来た喜びに笑みを浮かべる僕は自分の前を歩く村長の後についていった。
「ちょ、ちょっとおじいちゃんーッ!私からアレンを奪っていかないでよぉーッ!」
後にはようやく痛みから回復したところでアレンを自分の祖父に奪われた悲しみを叫ぶイリスだけが取り残される野だった。
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