第13話:非凡チャレンジ2
ボス部屋の近くでうろうろと歩き回る。ようやく見つけたスライムを、今度は跳んで来ないように遠目に距離をとった。攻撃で届かない距離ならスライムはぴょんぴょん跳ねて近づいてくる。これなら壁にぶつかる心配もないだろう。
まず部屋に入って、一旦息を吐く。置いていた武器を手に取る間にスライムも部屋に入ってくる。よし、準備OK
頭上でぐるぐると砂袋を回す。壁に当たらない。そのまま、勢いを殺さぬように、遠心力を使って手首のスナップで…
ドサッ
「…ま、ムズいわな」
ぽーんと離れた所に落ちた砂袋。スライムに触れる前に紐を引っ張って回収しながら飛び跳ねる攻撃を躱す。距離が開けば当てるのが難しいのはわかってたこと。だからこそスライム相手は良い練習になる。
大丈夫、スライム相手には負けない。他の攻撃手段も残ってる。いくらでもやれる。
「気をらく〜にして行きましょね〜」
ぐるぐる回して、投げる。地面に落ちた袋を紐を引っ張って回収。縮んだスライムを避けてまた回す。投げる、外れる、回収、回す、投げる、外れて回収、回して、投げて…あ"?
「あ"あ"あ"ちまちまめんどくせえぇぇえ!!」
回収した勢いで袋を振り上げる。そのまま距離を詰めて…バシャと爽快な音にふっと息を吐いた。
「…いやこれじゃ普通に近接だからダメなんだってぇぇ私投擲下手すぎない!?ドッチボールそんな下手じゃなかったと思うんだけどなぁ!」
ボールを投げるだけならこの距離だと充分当てれると思う。だから、カウボーイみたいな輪投げみたいなやり方もできると思った、んだけど…
「物を一直線に投げるのといい感じに放るのじゃ意味が違うってことか…んー普通に投げたほうが戦えるか?でもなぁ、溶かしてくるスライムじゃなければ、投げて返ってくるの結構いいと思うんだけど…いやボールとか投げ物に紐だけ繋ぐって方法も…うーん」
現状の私の精度じゃ、輪投げカウボーイ方よりは可能性がある気はする。ただそれでも、"普通に物を投げる"という戦法に思考を止める理由は1つ。
んなラノベ見たことない。以上。
物を投げてモンスターを倒す?んな戦法どんなスキルが手に入れば機能するんだ?音を鳴らしての囮とか毒ポーションみたいなので補助としては機能するけど…メインの攻撃戦法として使う未来が見えない。なら水鉄砲のほうがマシ
「それに普通に投げるだけだったら私のパワーじゃ限界あるしね。もうちょいカウボーイ方でやるかぁやれんのか私」
新しい砂袋を結び付ける。こう、手首のスナップで相手にまっすぐ行く感じで…いや、ぶんぶん回して回転数多いから手を離すタイミングミスってんのか?ちょっと回転を弛めて…あ、スライムいねえから探しに行かないと。
「考え続けてると行動が疎かになるの悪い癖…シングルタスクすぎるな。一旦切り替えで別のやるかぁ?」
水を詰め替えた水鉄砲、マッチと新聞、砂袋はバット代わりにも使えるとわかったので振り回せないけど持っとく。これ、殴るだけならもうバットいらないかも…いやいや、刀系の近接スキルも手に入るならほしいからまだ必須必須。その他ぽんぽんと必要そうなものを入れてリュックを背負う。
まぁ、色々試せるけど一旦投擲を見ながらかな。頭の中でいくつか戦法をうっすら考えながら通路を進む。右、左…入口には戻りたくないからこっち。ダンジョンのマップは基本把握できてる。ゲームと違って毎回毎回ダンジョンの形が変わらないのがとってもありがたい。
ここをこっちに曲がって…あぁこの先の行き止まり確認したらあっち側行くか。時々ある、スライムに遭遇できない時間は無性にソワソワする。緊張しっぱなしはメンタルに悪いし、変に疲れてくるんだよなぁと思いながら行き止まりを確認して…
「お、いた!こーれどうするかなぁ、部屋まで戻るにはちとめんどくさいかぁ」
ぴょんと跳ねる姿を確認して、迷う。他戦法の経験値にしても良し、じっくり時間をかけるも良し…でも私じわじわ攻める系苦手なんだよな、さっさと攻撃したくなる。
「まぁ時間かけて戦うメンタルも鍛えますか〜このままゆっくり…っ!」
ぴょんと、音がした。ぱっと後ろを向けば正面、曲がらなかったほうの道からスライムが姿を表す。2匹に挟まれた。けど……聞こえた水音は、もっと近い。
前に出る。曲がり角から、顔を出して確認
「3体に囲まれたことはないかなさすがにぃ!」
ちょっと、余裕なくなってきたかな?
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