第10話

河香葉と瑞川は、服飾系総合テナントビル内の案内センターへ向かった。二人は「ここのビル内で写真撮りたいんですけど、どこかいい場所ありますか?」と尋ねる。すると、カウンターの向こうから現れた受付嬢が目に入る。


その女性は、頭に巨大なうさぎの耳の被り物を載せていた。暑そうだし重そうにも見えるのだが、彼女はにこやかに対応してくれる。


「その被り物、いつもしてるんですか?」河香葉が興味津々に聞くと、受付嬢は淡々と答える。

「標準装備です」


二人は思わず顔を見合わせて笑う。瑞川が「でも重くないですか?」と尋ねると、受付嬢はにっこり笑いながら説明した。

「すごく軽く作られてます。しかも中にヘリウムが入ってるので、実は浮いてるんですよ」


河香葉と瑞川は「なるほどー!」と感心し、三人でその場で笑い合った。周りを歩く人たちもその奇妙な光景にクスクスと笑っている。


「じゃあ、ここで一枚、写真撮らせてもらってもいいですか?」瑞川が言うと、受付嬢も快く了承し、三人でカメラの前に並ぶ。うさぎの耳がふわりと浮いている様子が面白く、二人の笑顔も自然に引き出された。


「それから、美術館の方に行くと、もっと写真映えする場所がありますよ。今はアメリカの最前線グラフィックアートの展示もやってます」


河香葉が「なるほどです」と頷くと、二人はそのアドバイスを頼りに、施設内美術館の方へ向かうことにした。

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