第2話

翌日、河香葉が学校の門をくぐると、瑞川はすでに新しい制服に身を包んで待っていた。制服は紺色のブレザーに白いブラウス、淡いプリーツスカートがひらりと揺れて、朝日の光を受けてほんのりと光を反射していた。


河香葉が足を進める間もなく、瑞川は背後からそっと近づき、河香葉に後ろから抱きついた。まるで狙っていたかのように、校舎の鐘がちょうど7時を告げる音と同時に、河香葉は後ろから羽交い締めにされる。驚いた拍子に、制服のスカートの下からストーンと小さな紙袋が落ちた。中身はポテトチップス小袋。


瑞川は小さな声で、しかし河香葉にだけ届くように言った。

「学校にこんなもの、持ってくるとは……私に貰われるのが当然だっていう意味だよね」


河香葉が「グミもあるけど……」と小声で返すと、瑞川はふっと笑みを浮かべた。

「それは私のおごりにしとくよ」


笑いながら、瑞川はポテトチップスの小袋を手に教室へと駆け出して行く。河香葉はその後ろ姿を見送りつつ、朝の光に照らされた瑞川の制服と髪の動きが、何とも言えず印象的で、今日もまた、ただの朝では終わらない予感が河香葉の胸に広がった。

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