社会が生きろと言うのです

白川津 中々

◾️

 生活保護をいただいている。


 頭が常になにか詰まっているようで動けず、食事や排泄さえも億劫になり、このまま死んでしまおうかというタイミングで知人に知られ、申請からなにからの面倒を見てもらった。衣食住はなんとかなったが、とはいえ何ができるわけでもないから一日中寝てばかりいる。是非もなく、そうする他ないのだ。


 ただ、不思議なもので、死ぬ寸前になるとどうも飯を貪ってしまう。どうやら、遺伝子に染みついた生への執着、呪縛は随分と根強いらしい。味は感じない。生きるため、吐き戻しそうになりながら胃に詰めていく。

 前は、真っ当だった頃は酒と食事が一番の喜びだったが、今はもう、極力身体を重くしたくない。酩酊しなくても脳が働いていないのだから、酒も必要なくなった。


 こうした生活をしていると、自分はもうすっかり壊れてしまったのだと実感する。生活の保護などではなく、いっそ処分してほしいと思うが、それは最後さえ選べない人間の弱音だろうか。いや、働きもせず社会に生かされている人間が偉そうな事も言えない。黙って、この無意な日々を死ぬまで繰り返していればいいのだ。


 生かされているのだから死ぬまでは生きよう。ベッドの中でそう考えると、自然と瞼が閉じていく。今日も、何もなく終わる。寝ているだけで、時間が過ぎる。明日もまた、同じだろう。いつまで続くのか。きっと、死ぬまで。




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