Healing

みぃ

時めきはこぶ





この宇宙に

無数の星があるように

数えきれないほどの

時間が流れている

その膨大な時の流れのなか

あなたは今日まで歩いてきた

私は今日まで歩いてきた

たったひとつの偶然が

必然の引力となり

私たちを引き寄せる

それは風がそっと運んでくる

新しい季節の懐かしい香りのように

雨上がりの虹がそっと現れるように

待ち望んでいたわけでもなく

突然訪れる

そんな出会いがある

それは

やさしい光のように

温かいぬくもりのように

静かにしかし確かに

あなたの心を照らし満たしていく

あなたが

あなたである限り

私が

私である限り

きっとまたどこかで

新しい出会いが待っている

その瞬間に

そっと微笑むよ

ただ、それだけでいい



しずけさをきいている

耳をすますと

どこかで遠くから

微かに聞こえる

鳥のさえずり

しずけさをきいていると

ぼくの中の音が

どんどん静かになっていく

しずけさをきいていると

ぼくの世界は

ぼくひとりだけのものになる

広くて静かで ただただ、ぼくだけの

とても心地のよい場所になる

しずけさをきいていると

忘れていた

懐かしいにおいがしてくる

それは夕暮れのにおい

しずけさをきいていると

ぼくは、ぼくの中の

いちばん大事な場所に

帰っていける

やわらかい光に包まれて

ほんとうの自分に出会える

しずけさをきいている

いつかこの場所で

あなたに会えるだろうか


しずかに流れる

ながれてゆく

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Healing みぃ @miwa-masa

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