あの娘は別腹

第1話

大学2年生の初夏に、ホストである父が、客の女に刺されて亡くなった旨をお祖父ちゃんから電話で知らされた。

正直、何も思わない。何故?それは俺が幼少の時に、他の女と一緒に何処かに消えたからだ。

だから、父の事はどうでもいいと思っていたが、俺に遺言があるらしい。

その遺言状によると、遺産の300万と異母妹を遺してくれたらしい…。どの面さげて顔も知らない異母妹を押し付けてるんだろうか?。

断ろうとも思ったが、罪もない妹を見捨てるのも可哀想だし、何より学生の身分での300万は大きく、渋々受け取ることにした。



約束のカフェで、頼んだスイカパフェも溶け切る時に、電話に鳴り響く。


「もしもし、木村大和君?


電話の相手は、浦瀬義人さん、俺の叔父にあたる人。


「どうかしましたか?」

「今ね、浦瀬家のお墓にいるんだけどね、真凛ちゃんが動いてくれないんだよ」


真凛と名前の印象からクールな性格の女の子を想像したが、意外と寂しがり屋なのかもしれない。


「分かりました。そちらに向かいます」


浦瀬家のお墓は、記憶だとカフェから10分程度の所に位置している。

溶けたパフェを平らげて、自転車にまたがった。


自転車を停めて叔父さん達の元へと向かう。

浦瀬家のお墓はお寺の境内の隅にある。その為簡単に見つけることが出来た。

そこには、穢のない黒色の長髪に、中学校の制服を身に纏った少女が、お墓の前で掌をついている。その表情は飛び方をまだ知らない小鳥が一生懸命に羽をばたつかせるけど、やはり飛べない様な儚い印象を覚える。


「君が真凛ちゃんだね?」

「はい、私は浦瀬真凛と申します。貴方は大和さんですね。よろしくお願いしますと申し上げる前に言っておきますが、貴方の事は兄だとは思っておりません」


正直面を食らった。拒絶されるとは思っていたが、それは一緒に暮らし始めてからの事だと思っていたからだ。


「あぁ、それでも良い。だけど俺は真凛ちゃんな事を家族だと思って接するからね」


一呼吸置いてから言いたいことを伝えた。真凛は思春期の女の子。急に知らない異性を兄だと思えと言われても無理あがると思う。だからこそ否定をせず、意思を尊重したいと考えている。

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