育ちと保育園時代

 自分の1番古い記憶が何かと考えた時、ぶっちゃけ分からなかった。雑多な思い出が乱立していて、整理するのは難しい。だから順序立てて思い出していこうと思う。

 まず、自分は群馬の片田舎で育った。どこの病院で生まれたとかそんなのは分からない。ともかく自分が生まれた家は、田舎特有の広い庭がある家で、厳格だが仕事が出来る父と、優しくてちょっぴりヒステリックな母。そしてとてもヒステリックなおばあちゃんが家族だった。

 小さい時から『お前は家の長男なんだから』『うちは歴史ある家で』とかって話をとても沢山聞かされて育ったせいか、大分プライドが高く育ったと思う。そして完璧でなくちゃと子供ながらに考え、大人に見られるにはどうしたら良いかと色々考えるようになっていた。

 その結果保育園に入る頃にはもう敬語を使っていて、先生達に〇〇君は偉いねと褒められるたびに良い気になったもんだ。

 大人から褒められるのは気持ち良かったし、嬉しかった。その反面同じ年代の子達にはあまり好かれず、毎日居心地の悪さを感じながら過ごしていたと思う。だが、自分はそんな同年代の子達を見下していた。男はすぐに下ネタを言うし、ケツをだす。女どもはすぐ泣いて先生に告げ口をする。『こんな奴らと俺は違う』そう思う事で自身の居心地の悪さからは必死に目を逸らし、心の安定を保つ日々。

 そんな捻くれ少年にも転機が訪れる、好きな子が出来た。同じ保育園の◯ちゃんだ。

 〇ちゃんは非常に活発な、美人で男勝りの元気な女の子だった。今思うと、自分は卑屈に他人を見下すことしか出来ないのに、その子は持ち前の明るさから関わる人皆んなを笑顔にしていく。そんな眩しさにやられたのだろう。

 そこから、自分はその子の事しか考えられなくなった。食うにも寝るにもその子の事を考え、その思いをずっと抱えながら過ごしていた。

 好きな子が出来ただけでも、自分的大事件だが。その直後もっともっと大きな出来事があった、弟が生まれたんだ。

 弟は小さくて可愛くて、比喩表現じゃなく天使だと思った。自分が何するにも後をついて来て、ずーと笑ってる。誰かに頼られたり、裏表ない善意を向けられたのは初めてで、困惑もしたけどとても嬉しかっし、弟の事は守らなきゃと強く思った。

 後から知ったが、弟はダウン症という障害を持って生まれて来た。難しい事は今でも分からないが、弟は世間一般でいう『普通』とは違う事だけはなんとなく分かっていた。

 正確に覚えているのはこれくらいで、他にも沢山思い出があるはずだが、断片的な記憶が頭の中に散らばっているばかりでまとまらない。

 文を書きながらも、このまとまりのなさ、締まらなさが自分らしいなと自嘲的に感じる今日この頃だ。

 ともかく、育ちと保育園時代はこれまで。

 

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ただ、人生聞いて欲しい @tadanohito1

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