38話 決意表明、罪滅ぼしをさせてくれ!
宿で落ち合った一行は、おかみさんに頼んで食堂を借り、それぞれが見聞きしたことを報告し合った。
事前に心ばかりの食料を提供していたのが功を奏したのだろう。
おかみさんは快く場所を貸してくれた。
「それにしてもひどい有様だね。食うや食わずの人ばかりじゃないか。
どうして、ここまでになる前に手を打てなかったのかな?」
「ええ、まったくその通りですわ。
活気がないのも無理はありません。旅人はおろか、命知らずの冒険者ですら近寄らないそうですのよ。
聞いてくださいまし――先ほど、鄙びた祠の前でドグマさんの
それと、この街の領主様がまったく当てにならないとも」
「確か、この地は辺境伯が治めていたはずだが……。
今回、討伐隊が編成されるのはポルテアだったな。妙な話だ」
街の様子をつぶさに観察した一同は、どうやら似た印象を抱いたようだ。
ラングの言葉にはやるせなさが滲み、ナターシャも強く同調する。
そして彼女は、ドグマが義妹サリーネと再会した件も、さりげなく話題に織り交ぜていた。
一方のドグマは、この地を治める辺境伯への不信感を隠そうともしない。
「僕は難しいことはわからないから、みんなの意見に従うよ。
ただ……ニコ君やサチちゃんを放ってはおけないかな」
「すまんが、私はこの町の手助けがしたい。
今すぐにでもだ!
ラングが状況を冷静に整理する一方、
心優しいジョナサンは出会った少年少女を案じ、
ドグマは即時行動を主張した。
「義妹夫婦には、恐らく私のせいで相当肩身の狭い思いをさせてしまったことだろう。
でなければ、ボーダニアを離れてこの地で暮らしているはずがない。
……せめて、罪滅ぼしをさせてくれないか」
共同経営の相棒に裏切られ、すべてを失ったドグマ。
あの時の心の傷はいまだ癒えていない。
今回の旅は、その清算の意味もあった。
彼は再会の意味を、静かに噛みしめているようだった。
「それじゃ――サウスポルトニアの全力支援で決定だね!」
「恩に着る。きっとお前なら、そう言ってくれると思っていた……」
「ラング君ってば、街を歩きながらもう腹は決まってたみたいだしね」
「さすがダーリン。そういうところも、あなたの素敵なところですわ」
「よし! この街を助けよう!
特にドグマ氏の家族は、俺たちの家族も同然。
絶対になんとかしてやろうじゃあ~りませんか~!」
「どうして、こう盛り上がってるところに水を差すかね、お前は」
「でも、それがラング君らしいって言うか……」
「そこも素敵♡」
「まったく、お前さんもブレないな、ナターシャよ。
……だが、ありがたい。
皆の力を私に貸してくれ」
「もちのろん!」
「はい、わかりました!」
「微力を尽くしますわ!」
ドグマが高らかに決意を告げる。
それに、仲間たちは力強く応えた。
サウスポルトニアの傾いた天秤は――
この瞬間、一気に暗雲から晴天へと振れたのだった。
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