41話 私も行く!
皆の反応を受け、ラングが新たな提案を口にした。
「でね、いっそのことサウスポルトニアに本拠を設けちゃおうかな、なんて考えてるわけさ。草原地帯の食材を一通り収穫したら、ホル氏にまた開墾をお願いしたいなぁって」
またしてもラングの無茶ぶりが炸裂する。
開墾と言うより、完全に開拓に近いというのに、
あえて柔らかい言い方でそそのかそうという腹積もりなのだろう。
「お~し、いっちょやったりますか。
生き物係を立ち上げた時みたいに、耕して耕して耕しまくるぞ~!」
人の好いホルスは、またしてもラングに乗せられてしまったようだ。
――と、その時。
それまで大人しくやり取りを聞いていたエマルシアが、突然口を開いた。
「私も行く!
私だってラング君達の力になりたいの。駄目って言われてもついていくんだから!」
思いもかけないタイミングで、思いもかけない人物から参加表明が飛び出す。
会議の参加者たちは、思わず顔を見合わせた。
中でも――
「お嬢、気持ちは嬉しいけど、お店はどうするのさ?」
「お店ならサブセルさんがいるから心配いらないわ」
「でも会頭が許さないんじゃないかな」
「いえ、私だってもう大人よ。いつまでもお父さんの言いなりじゃないんだからね。
それに、このままだとラング君がどんどん遠くに行っちゃうから……」
カイエイン商会の会頭であり、エマルシアの父でもある
アルバート=カイエインに気を遣い、ラングはなだめにかかった。
ただでさえ“悪い虫”認定されている自分が、
愛娘を街の外へ連れ出したらどうなるか。
ましてや今回のような危機的状況の中だ。
ラングにしても、会頭には足を向けて眠れないほどの恩がある。
恩を仇で返すような真似はできるはずもない。
だが――
エマルシアの決意も固いようだった。
気がつけば、ラングはどんどん遠くへ進んでいた。
ここでラングの側を離れたら
もう二度とその隣に立てない。
彼女はそう思い詰めているのだろう。
「兄弟もヤボなこと言わんと、お嬢も連れてったれや」
「だね~。ラング君に拒否権はありませんよ?」
「あとは若い者同士で……」
外野が面白半分に茶化してくる。
(お見合いみたいなことを言うのは一体誰だ!)
どさくさ紛れに変なことを言う仲間たちを、ラングは睨みつけた。
「そんなこと言われてもさ、あんな危険な場所にお嬢を連れて行くわけには……」
「じゃあ、みんなは?
どうして私だけ除け者にするのよ!」
「それはなんて言うか……」
「ほら、確かな理由なんてないんじゃない!
それなら私も一歩も引かないんだからね!」
(うわっ!これは言っても無駄かも……)
エマルシアの断固とした態度に、ラングは説得を諦めざるを得なかった。
「
ラングはポルテアに戻った途端、悩みを一つ抱えることになった。
とはいえ、エマルシア自身が父を説得すると断言したこともあり、
結局は彼女の随行も決まったのだった。
サウスポルトニアには、
プラント商会の研究室および飲食業以外の機能を移す方向で話がまとまる。
研究室は三つ目族のシャルランを責任者に据えることになった。
イワンのもとで培った技術を生かし、
彼女はその後、優秀な所長として様々な成果を上げることになる。
飲食業の方は、エマルシアが転移魔法陣で行き来しながら、
後任を急ぎ育てることに。
もちろん大変な役回りになるが、それも覚悟の上とのことだった。
援助物資の手配もナターシャがすでに済ませていた。
コモドンたちを呼びに行くついでにあっさり終わらせてしまうあたり、
さすが“できる女”である。
頼りになる仲間達だ。
このメンバーなら――
きっとサウスポルトニアを救える。
ならばやることは一つ。
ラングはサウスポルトニアを
必ず立て直すと心に誓った。
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