第22話 無口ちゃんは助けてもらいたい



【今回も琴音目線で始まります】


夜宵のパトカーの助手席に乗り

ほぼドライブのような感覚でパトカーを走らせる

この車に乗るのも、何年ぶりかな……


「あの子には、こんな姿見せられないね?」


「日頃の行いが悪いせいで、普通に捕まったって思うかもね」


「いやいや、あの子に限ってそんなこと思わんさ。それより、あんたの事はどう思われてんの?」


「流れでハーレムの一員になってる。あの子、あたしのことを本当に大学生くらいって見てると思う」


「あんたが大学生〜?あはは!こりゃ面白い冗談だな相棒〜!」


「うっせえ、運転に集中しろ」


私はずっと頬杖をついて外を眺めてたが

夜宵は久々にあたしに会ったからなのか

ずっと喋りかけてくる

なんでこいつはいつもこうなんだ

あたしは……もうあんたの相棒じゃないのに


「つか、仕事でもないのにパトカー使って良かったの?」


「いいだろ別に、この車走らせるだけで、安全運転が増えるんだぜ?れっきとした仕事だよ」


それもそうだな……

と思ってると、柊奈っちからメールが来ていた

病欠って事にしてるから、心配のメールらしい

『病欠って大丈夫ですか!?お大事にしてください( ߹꒳߹ )』

そのメールに思わずフフっと笑ってしまう

相変わらず優しくて可愛い


「例の子かい?」


「覗き見すんなし」


「あんまり深入りしないあんたが、あの子に惹かれるなんて、面白いこともあるもんだ」


「あたしに出来ることは、あの子のためにクソッタレの青春の経験を活用することだけだよ」


「いいねえ、その船乗った、とことん付き合ってやるよ」


「缶ビールに釣られたくせに」



そんな雑談をしながら2時間

ようやく柊奈っちの実家に着いた

パトカーだし夜宵も警官服だから

夜宵は置いといてあたしだけで近くを調べ始めた

住宅街のうちの一つだけど

これといって怪しいものは見当たらない

普通にピンポン押すのは怪しまれるしなぁ……

と思っていたら、ちょうど家から誰か出てきた

……小学…いや、中一くらいの子だ

白髪で前髪が片目を隠していて可愛らしい


家の真ん前にいたせいで

女の子はキョトンと不思議そうにあたしを見ている

やべ、どうしようと思ってたら

いつの間にか私服に着替えた夜宵が声をかける


「こんにちはお嬢ちゃん!今お話いいかな?」


警察手帳を見せると

女の子は少しビクッとするが家の中を確認して

「……公園でいい?」と言ってくれた



公園について、私と夜宵に挟まれた状態で女の子はベンチに座る

この子なんなんだろう……柊奈っちに妹がいるなんて聞いてないけど……


「お名前教えてくれるかな?」


「…高津杏子(きょうこ)です」


柊奈っちと同じ苗字……でもやけに大人しい

警察とわかって家の中を確認したってことは

やっぱり家族に何かあるなこれ……


「今から学校?もうお昼なのに体調でも悪かったのかな?」


「んーん、あんまり早く起きると、パパが変なことしてるの見ちゃうから……」


変なこと……?

「詳しく教えてくれる?」と夜宵が聞くと

「パパに言わない?」と確認してきた


「大丈夫、言いたくないなら言わなくてもいいよ」


「…………パパ、毎日違う女の人と一緒にいるから、その姿見てるだけで気持ち悪くなるんだ」


……これは

思った以上に問題ありそうだな……


「そうか、言えて偉いな君は。でも、君はどうしたい?」


「……んー、早く大人になって離れたいな。本当のママもどこにいるかわかんないし。」


夜宵はその言葉を聞いて私に目線を送る

なんとなく、したいことは分かった


「ねえ杏子っち、君にお姉ちゃんがいるって言ったらどうする?」


「お姉ちゃん…?いるの?会ってみたい」


「よし来た!今日は学校サボっちゃお!あたし達が連れてってあげる!」

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