幼馴染が寝取られちゃった話
桜井正宗
幼馴染NTR編
【前編】幼馴染が寝取られちゃった話
高校2年になり、1日目の放課後。
忘れ物を取りに教室へ戻ったときだった。
隣のクラスの扉が少し空いていたんだ。
ここは幼馴染の『
ふと気配を感じた。
「……
俺の名をつぶやく幼馴染の
しかも、誰かといる……?
扉を少し開けると、中には燐と知らない男がいた。あれは誰だ?
「霜? ああ、お前の幼馴染か。ヤツのことは忘れろ」
「で、でも……」
「大丈夫。俺なら燐を幸せににできる」
その瞬間、男は燐の唇を奪っていた。
……う、うそだろ……。
燐は少し抵抗していたが……直ぐに身を委ねていた。な、なんでだよ……! そんなハズはない。
だって、燐は子供のころに「いつか結婚しようね」と言ってくれた。
あれから毎日のように一緒に過ごしていたのに。
どうして……。
これは夢なのか……?
酷い
そして、気づけば男は燐の体に触れていた。俺ですら触れたことのない部分に。
…………っ。
頭がおかしくなりそうだ。
なんで、こんなことに……。
絶望している間にも、
誰もいない教室で二人は交わっていた。
・
・
・
それからの記憶はない。
俺は……俺の人生はなんだったんだ。
燐、君のあの笑顔は……言葉はなんだったんだ……?
小学校の頃も、中学校の頃も……ずっと一緒だったのに。
最近では友達以上恋人未満のような関係で、あと少しで付き合うところまできていた。
なのに……。
信じられない。なにもかもが。
それから俺は燐とは距離を取るようになった。幸い、教室は別だったし、向こうから来ることもなかった。
頭を抱える一日を送り――気づけば放課後。
誰かの声がした。
「――くん。
苗字で呼ぶ誰か。
ということは、燐ではない。
声からして同じクラスの女子だろう。
え……女子?
ふと顔をあげると、そこには隣の席の女子がいた。
ギャルっぽくて俺とは接点なさそうな女子。名前は知らない。学年が上がったばかりだし、俺はそもそも人の名前を覚えるのが苦手だった。
「…………な、なんだい?」
「相楽くん、ずっと元気ないね。どうかしたの?」
「そ、それは……」
「隣のクラスの
「ど、どうしてそれを」
聞き返すと彼女は微笑み、真相を教えてくれた。
どうやら昨日、燐と男(先輩)を見かけたらしい。そして、俺が隣の教室の前に立っていたところを目撃したのだとか。
だから、ある程度の事情を知っていたと。
更に、この隣の席の女子がの名前が『
「――というわけでね、知っちゃったの」
「そ、そか。もう終わったことさ……」
「それにしては凄い落ち込んでいるよね、霜くん」
さりげなく下の名前で呼ぶ小雨さん。ギャルってやっぱり距離が近いというか、なんというか。
「そうかもな。……そうだな、俺は絶望している」
「死んじゃダメだよ」
少し強い口調で小雨さんは止めてくる。いや、そんなつもりはない。怖いし、そんな度胸もない。
それに、今は小雨さんと少し話せて気が楽になっていた。
やっぱり、女子と話すっていいものだな。
「人生って理不尽だな」
「そういうものだよ。あたしなんか家庭環境が酷くってさ~…片親だよ」
そうなのか……って、それは重いな。
なにをどう返していいのか分からず、俺は黙った。
つか、難題すぎて無理だろうこれは……!
「か、帰るか」
「うん、一緒に帰ろう」
「え」
「え?」
お互いに見合って、そんな反応をし合う。
小雨さん、まさか俺を待っていたのか……?
一緒に帰りたかったってこと?
「絶望男と同行しても得はないぞ」
「あたしにとっては希望かな」
「……どういうこと?」
聞き返しても、小雨さんは答えなかった。それどころか俺の右腕を引っ張り、強制連行。ま、まさかこんな積極的とはっ。
おかげで俺は立ち止まることなく、学校の外へ出た。
誰かに引っ張られるなんて……あんまりなかったかも。
無言のまま道路まで出ると、小雨さんはようやく口を開いた。
「――保志野さんの相手だけど」
「……え、それって、あの……」
「
「へえ……って、なんで知ってるの?」
「名探偵だからねっ」
と、小雨さんは親指と人差し指を顎にあててドヤ顔。キラリーンと謎の輝きが見えたような……気がする。
名探偵ねぇ、そんなハズはないだろう。
今時、高校生探偵とかいないって。
もしかして、小雨さんってずっと前から俺を追っていた……?
まさかな。
【続く】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます