詩「マーボー豆腐」

金子よしふみ

第1話

町中華にありそうなマーボー豆腐を

銀のスプーンで掬う

ご飯にかけていっしょくたにして口に入れる

山椒がないため

舌にピリリとした感触はない

それでも辛い

水を飲むほどではないけれど

これはそう額にじんわりと汗がにじんでくるような辛さだ

三口を咀嚼したところでスープを一口

中華スープなのに刺激を感じるのは辛さの名残のせいだろう

減退していた食欲がそそられるような辛味は

次から次へと

手を動かしてマーボー豆腐をご飯にかけて口に入れる動作につながる

最後の一掬いをご飯にかけて

ご飯もたいらげてしまった

お腹が満たされた感じ

はちきれんばかりの腹ではない

それでも食べられたということが

何よりも満腹感を充足させる

これをきっかけに食欲不振が解消されて行ったらなと

小さな希望が頭をよぎった

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詩「マーボー豆腐」 金子よしふみ @fmy-knk_03_21

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