長雨

黒いレコードに針を落したら

Zohと冷たい音がした


暮れる日をいとしんで

さみしい曲をかけている


さみしさに

多くのことを忘れている


頭の裏側を足音が

満ちてはいて行くけれど


窓をかしたら

机の端からペンがこぼれて


拾い上げ

ノートをひろげても


さみしい が字にならず

漢和辞典をひいている


 … 寂しさは

   屋根の下にひとり叔すこと …


寂しい

と綴ったら

紙は蝶になってとんでってしまった

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