食悦のダリア

おこめ

第1話 吸血鬼目覚める

「腰が痛い!!」


 棺桶から飛び起きての第一声がそれだった。

 100年も眠っていたのだ。無理もない。こんな狭い棺桶の中で寝返りもせず100年も寝ていたのだ。腰への負荷が違う。


 腰をさすりつつ膝をついて、やっとの思いで棺桶から起き上がる。足がまだ胴体を支える事を拒否しているらしい。震えが止まらない。

 おぼついた足どりでおそるおそる窓に近づき、カーテンを捲ってみる。


「暑う!」


 一斉に太陽がこちらを攻撃をしてくる。光にあたった瞬間、レアから一気にウェルダンにローストされてしまいそうになりすぐにカーテンを閉める。

 ほっと一息すると、安心したのか腹部から雷の様な轟音が鳴り響いてきた。


「腹が減ったな」


 ごそごそと薬やら本を無造作にしまっている棚を掻き回す。


「確かここに非常時の血液──いや食事を隠しておいたはずだが」


 バタバタと物を放りだすが、全く見つからない。ふむと口に手を当て、心当たりを探る。すると、ふとまだ探していない場所があるではないかと思い出す。


 棺桶だ。あそこはまだ起きてから一度も探していないはず。


 棺桶の中を覗き込む。


 あった。硝子の小瓶に赤黒い液体が波打っている。思わず涎が出そうになるがぐっとこらえ、瓶に手を伸ばした。






「あ、消費期限切れてる」










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