深淵を覗くとき、深淵もまた…
いつの日か――
『こんちは~!浪呑だよ~!今回紹介するのはこのカラコン!実はもうつけてるんだけどこれめっちゃイケてない?それでこれ……』
「この前の動画の経過は…30万回再生か。まぁ1週間でこれは十分だろ」
はじめがそう言うのを聞きながら浪吞はカラコンを外した。
その下に見える眼の色は……蒼。
「はじめ~!動画とっといたから編集しといて~!」
「あいよ!この前のカラコンのやつ30万いってるぞ!」
「当然!なんてったって超絶美少女のぼくが出てるんだからね!」
「それにしても眼の色を変えるカラコンが流行るなんてね」
「聖書の解読が進んで眼の色が変わった人たちが本当はいい人たちってわかったのが大きいよね」
はじめは画面をみて言った。
「そっれにしてもコメント、『かわいい~!』『ここまで変わるんだ~』『次流行るのはコレか!』だってw」
「頭がおめでたいね。アホなクラゲどもは」
「まさか瑠世が生きてるとは思わないだろうなぁ」
はじめがそういうと瑠世がつられたように笑った。
「まさかSNSで言ってコーズを手放すだけで政府まで騙せるとはね」
実際、瑠世は戸籍上死んだことになっているが今ここに生きている。
「所詮SNSとかいう文面だけなのにね」
「まじちょろちょろのチョロww」
「それな~」
笑い終えると二人ははぁ、と息を吐いた。
そしてはじめと瑠世は視線をこちらへ向けた。
紛れもなく、こちらを見ている。
決して見えないはずの、見えてはいけないはずの我々のことを。
目があったね、と言わんばかりに二人は眼をニィ…と細めて言った。
「「お前らのことだよ。クソクラゲども」」
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