3話

ドグマとの口約束通り俺は暇な日にちょくちょく研究に協力していた。初日のように劇的な変化もないためずっと味のない花を食っているだけの日々だった。ドグマも呆れているような予想通りのような顔で見てくる。そしてドグマのところに通うようになってから風花のこと、呪いことを大体理解してきた。風花の呪いはある程度制御は出来るが定期的に呪いを花の形として放出しないと触れるものほとんどが崩れてしまうことだ。そしてドグマも長年成果がなかった訳でもなく呪いを少し抑える薬を開発していてそれを毎日風花に飲ませている。まだそんなところしかわからないが少しの時間でこれならばいいことだろう。

「…おはよう」

ドグマのところに来た俺に風花が挨拶をしてきた。

「おはよう」

前より緊張はしないがお互い少し固い態度で接してる。これはあんまり良くないだろう。だが今日は風花は続けた。

「体調に変わりはない?」

風花が俺のことを気にかけてくれているらしい。

「風邪も引かずに元気にやってますよ。元気がありあまってるくらい」

「そういうのじゃなくて、ここに来るようになってからってこと」

少し誤魔化したつもりだが無理があったな。呪い関係のものを体に取り込む…傍から見たら自殺行為なんだろう、それは一番風花が実感してることだ。

「最初みたいなことはなくなったし、触れた時にも何ともなかったから特異体質だったりして」

そう言った瞬間風花の顔が驚きに染まった。

「最初…?触れた…?私に…?」

「あれ、ドグマから聞いてなかったのか?」

ドグマから協力することを聞いてないのだろうか、研究に協力することは言ったとドグマから聞いたのだが…

「あなたはただのバイトとしか聞いてないわ!」

……なんてこった…。花を食べているのを気にしてるのではなく本当にここにいる状態で異常がないか聞いていただけなのか…。

「…あなたは何をしているの?最初よりもって何?」

風花の圧に押される…。

「あ、いや、なんというか」

「俺が説明する」

タジタジしている俺に代わってドグマが割って入ってきた。

「ドグマ…。ねえ、どういうこと?」

「とりあえず落ち着け、あっちで話をする。斎藤も今日は帰れ」

奥に連れられてく風花を横目に俺は帰らされた。

…大丈夫なのだろうか。恐らく昔、風花は呪いで人に被害を及ぼしたのだろう。それは事情も聞かずともある程度わかるものだった。

「明日、話を聞かないとな」

少し心にわだかまりが出来たまま俺は帰路についた。

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この狂った世界でいつか君に花束を @jpwjgjmjajhjagmjgpwm

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