家出JKを拾ったら会社の同期と先輩に迫られた

はっしー

第1話 出会い

「まだそんなことをやっているのか!!」

「これもやっておけ!」


 部長の怒号が社内に響く。


「また田所に仕事押しつけてるよあの人」

「やだねー、目つけられないようにしないと」


こちらにチラチラと視線を向けヒソヒソと話しているが、もう少し聞こえないように話すことはできないのか。


なんなら手伝ってくれてもいいのに...。


「終わる気がしない...」


時間は経ち残っているのは俺、田所優真と同期の山田和奏わかなぐらいだ。


山田はなんで残っているんだろう、12月も近いことから忙しいのは分かるがそんなに仕事を任されているわけではないだろうに。


椅子の背もたれに体重をかけながら伸びをする。


「もう少しやっていくか」


明日部長に怒られてもいいから今日はもう少ししたら帰ろう。


時計を見ると21時を回っていた。7時出社のことを考えるとかなり残業している。


「これ残業代でるよな...?」


心配になり独りごちていると山田が席を立った。

帰るのだろう。

そう思い山田の方は見ずパソコンと睨めっこしながら声をかける。


「おつかれー」


なにも返事は返ってこない。

と、コツコツとヒールが床を鳴らす音が近づいてくるのが分かる。


「どうした?」

「ひゃ!」


俺から声を掛けられるとは思っていなかったのか素っ頓狂な声をあげる。


「ご、ごめん」


思わず謝ると、「私の方こそごめん」と遠慮がちに言う。


「その手伝おうと思って」


そうだったのか、どうしようかと逡巡していると。


「やっぱり迷惑かな...」

「そんなことはないけど今日はもう遅いし大丈夫、家で待ってる人もいるだろ?」


手伝ってもらっては山田に迷惑がかかると断わったが、今のはセクハラになるじゃないか...。


今の時代何気なく聞いたつもりでも話の受け取り側からすれば嫌な思いをし、その結果セクハラと受け取られる。


最近のニュースを見てそう思う。

迂闊だったと反省し次からは慎重に話そうと心にきざんでいると。


「私一人暮らしだから、待ってる人なんていない」


不快にさせたかと思ったが意外にも飄々ひょうひょうとした答えが返ってきた。


「そ、そうか。でも今日はほんとに遅いし、大丈夫。またなんかあったら頼むよ」


 そう言うと少し寂しそうな表情で出口の扉を開き帰っていく。


山田が帰ってから1時間ほど経ったところできりの良いところまで終わったので俺も帰ることに。


「明日、怒られよう」


窓など開いてないか戸締まりを確認し会社を後にする。

――――

 

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