【辛】1-2 キャバ嬢(実家養鶏場)転生令嬢、リケジョ異端魔女と異世界辺境で大学ぶち上げます。
辛口です。
コテコテの長文タイトルが来ましたねぇ。しかも密度がすごい。油そばみたいなタイトルです。
これは良いとか悪いとかではなく、好みが分かれますね。
特に最初の、
【キャバ嬢(実家養鶏場)転生令嬢】
これは、読めるのに理解が追いつかない……。二度見三度見してしまいました。
ここでうっ……となってしまう読者もいれば、なんだコレ面白そう! となる読者もいるでしょう。私は前者よりですが、賛否あるのも自覚した上であえてこのタイトルを採用するなら、それは作者さんの自由です。
実際、長文タイトルらしくどういう作品かは非常に分かりやすいです。
自分の作品の要素を抽出し、適切に配置した上で極限まで密度を高めている……そういう技術力を感じます。
それは言い過ぎで、ただ羅列したらこうなった……のかも知れませんが。
ともかく、長文タイトルとして賛否はあるでしょうが、特段の問題はないと思います。
書き出し祭りで注目を集めたり印象付ける目的なら、むしろうまいやり方でしょうね。
やはり作者は意図的にクレバーな選択をしたのかも?
……百合の波動を若干感じます。
あらすじ。
熱意がすごいな、と思いました。
あとやはり百合の波動。
非常に情報密度が高く、それでいてちゃんと伝わる内容ですね。
もしやと思いコピペして文字数カウントしてみたところ、既定の400字ギリギリ。
やはり、確かな技術力を感じます。
詰めに詰めた完全無欠のタイあら(と本編)を携えて、今か今かと提出を待っていた作者の姿が身に浮かぶようです。
指摘しようと思っても、この盛りに盛って何一つ付け足しも変更も許さぬほどの「圧」。全マシマシ二郎系あらすじか。
辛口希望も、もはや挑戦状を叩きつけられた気分です。
とりあえず「文字数的に修正は無理です」と言われるのは分かった上でまず細かな点をいくつか。
【夢は形を変え、転生という思わぬ形でその夢「お姫様生活」が叶ってしまう。】
「お姫様生活」って、大学進学から変化してなる夢なんですかね?
指摘するほどのことではないし、私は上京してキャバ嬢のテンプレコースを歩んだこともないので分かりませんが、なんかこう、割と地に足ついた夢から急に女児みたいな夢になったなと。まあこれは本編で経緯が描かれるかもしれないし、事実そうなら納得するしかないです。
苦し紛れの言いがかりと思って下さい。
【やっぱ、なんか違う。】
「〜叶ってしまう。」から続くモノローグとしては唐突感があります。「でも」と付けるだけで繋がりは滑らかになりますが、文字数的に泣く泣く削ったのかも知れないですね。
【一念発起し褒美がもらえると噂の性悪女王の余興にチャレンジ。 頓知で切り抜け、領地(不毛の僻地)と大量の鶏をゲット。 ついでに魔女判定されたリケジョ、シルヴィを助ける。】
ソードマスターヤマト(知らなければ検索してください)みたいなスピード感の経緯説明です。
一文目は「チャレンジ(挑戦)」を前に出した方が理解しやすいと思います。
「一念発起し挑戦したのは、褒美がもらえると噂の性悪女王の余興」
どうですかね?
で、もっと根本的な問題なんですけど。
主人公が何を一念発起したのか、つまり「目的」が分かりません。
余興に挑んだことそのもの?
領地や鶏を得ること?
たぶん大学建学なのかなと思いますけど、あらすじの中では「それが可能な人材を手に入れたのをきっかけに思いついた」ようにしか思えません。
あらすじに書く情報の取捨選択で、作者が捨てたものが何か分からない以上断言はできません。でもその「主人公が一念発起した何か」は他の情報より優先度が低いんでしょうか?
これはこのあらすじ全体に関わる問題ですので、後述します。
【何よりかわいいから巻き込んじゃえ】
百合の波動ヨシ!
【自身の機転とコミュ力、シルヴィの知識を駆使し、領地開拓に着手…… 次第に噂が広まり、商人・学者・魔王が集う一大都市へ!?】
情報モリモリですね。
ここで気付いたんですけど、この文……というかあらすじ全編に渡って「誰々は〜」という「行動の主体人物」を示す主語が一つも無いです。読み直して、確認してみて下さい。
マジで無いです。
もちろん、だからダメという話ではないです。
視点が安定しているゆえに省略しても主体が誰かは伝わるので、逆にこれは作者の技術力に裏打ちされた高度なテクニックとも言えます。
ただやはり、後述の問題に関わってきます。
【果たしてソレイユの夢は叶うのか?
知と笑いで世界を変える、追放令嬢×キャバ嬢×リケジョ×建学コメディ!】
ジャンル四つ!
ここもモリモリですね。
……追放要素あった?
で、夢って最初の「大学に行きたい」ってやつですよね? この異世界、大学無いんですか? たぶん無いんでしょうね。
そもそも、主人公は大学の「何」を夢見てたんでしょう?
勉強? サークル? 一人暮らしの大学生活?
ふわっとしてます。それこそ「大学に行きたい!」ってただ言うだけの高校生みたいに、曖昧な夢です。
大学に行きたかったから、異世界に大学を作る。
……これもなんか、ズレてません?
だって「日本社会にある大学」と「異世界に作れる大学」って、かなり違うはずですもん。
「本好きの下剋上」で「
まあコメディですから、まさしく日本の大学みたいなのを作るのかもしれませんけど。
ともかく、主人公の目的がふわっとしてることは確かです。
勘違いして欲しくないのは「それは本編で描かれているから大丈夫!」という問題ではなく、「あらすじからそれが分からない」ことが問題なのです。
さて、引っ張った「あらすじ全体の問題」です。
八方美人なんです。
すべてを網羅しようとして、各情報量のレーダーチャートの過不足を無くそうと躍起になって、なまじ技術力があるが故に圧倒的総合スコアを叩き出して「しまった」。その証拠に、タイトルを構成する要素がすべて「ちょっとずつ」あらすじに散りばめられてます。
まるでポケモンのアルセウス(全パラメータの数値が120)のようです。
あらすじ界のアルセウス……その名も『あらセウス』。それがこのあらすじの正体なのでは。
決して悪くはないんですよ。何が書きたくて、どうしたいのかもまあ分かる。『あらセウス』も、あらすじバトル・カキダシ地方大会でそれなりに強いあらすじのはずです。
でもその分、「尖った魅力」が削られてしまっているのでは……?
主体を削り、体言止めを多用してまで詰めに詰めたせいで、逆に……。
そんな気配を感じます。削られている以上、それが何かは私には分かりようがないんですけど。
あらすじで描かれる主人公の目的がふわっとしたままなのも、これが原因なのでは?
今一度、ご自身で問い直してみてください。
この作品の一番の魅力は、なんなんですか?
私には候補が多すぎて分かりません。レーダーチャートのどれが、本来なら枠をブッちぎっていたはずの「独自の、圧倒的魅力」なのか。
それを自覚すれば、もっと落ち着きのある、職人が麺打ちからこだわった極上スープのラーメンが出せるのでは?
そういうポテンシャルを、作者さんの技術力からは感じます。
以上です。
……本編では、4000文字ビッタビタのスーパードカ盛りラーメンがお出しされるかも?(畏怖)
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