『婚約破棄された悪役令嬢、氷の王太子に愛されてます』
春山 もも。
第1話 プロローグ
目を開けた瞬間、私は確信した。
ここは__私がかつて夢中になったあの乙女小説の世界だと。
そして、鏡に映るこの姿は、公爵令嬢セシリア・ロザリンドそのものだった。
「…え、うそ……本当に、転生してるの?」
その言葉が、喉の奥から震えるように漏れた。
私は確かに、あの物語の悪役令嬢セシリアの身体を手に入れていた。
だが、どうしてもおかしい。
この小説は、アルベルト王子に婚約破棄される場面で終わっているはずだ。
そのあとの展開など誰も知らない。
なのに、私の意識はその“その先”を生きている。
恐れが胸を締めつけるよりも先に、胸に満ちたのは一種の期待だった。このセリシアという女性が、私にとってどれほど愛おしい存在だったか。
彼女は貴族として誇り高く、礼儀正しく、そして誰よりも努力を重ねていた。
だが、世間はありもしない噂だけで彼女をただの「悪役令嬢」と決めつけ、真実を知らなかった。
「ならば__私が、セリシアとしてやり直してあげる」
そう心に誓った。
彼女の誇りを、私が証明してみせる。
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