コンビニ幽霊

せおぽん

コンビニ幽霊

俺は目を覚ました。

時間を確認すると、午前二時十三分。


俺はタバコを吸おうと思い、ベッドから起き上がり、テーブルに目を向けた。

テーブルにはひねり潰したタバコの空箱とライターがある。あと、1本か2本ほど残っていたはずなんだが。


俺はフラフラと、5分ほどの近所にあるコンビニに向かう。

このコンビニは幼馴染がオーナーを勤めている。

昔から、俺をいじめて喜んでいた嫌な野郎だ。最近は、なにか心配事でもあるのか暗い顔をしている。


コンビニについた俺は、自動ドアをすり抜け、レジ横にあるタバコをふわりと取りレジに置く。

幼馴染はいつも以上に暗そうな顔をしている。


「また、来たか…」と幼馴染がつぶやいた。

「おいおい、つれないな。幼馴染だろ」


「ね…れいの確認をお願いします」

「なんだよ、俺とお前は同い年じゃないか」


「ね…れいの確認をお願いします」

「お前、働き過ぎだよ。あんまり根を詰めるなよ。また、くるからな」


俺は、そう言ってコンビニを後にした。


午前7時30分。俺は改めてあいつの勤めるコンビニに行った。

パトカーが止まっていて、警察官が数人慌ただしくしている。

遠巻きに見ている住人達の話し声が聴こえた。


「オーナーさん、失踪しちゃったらしいよ」


その言葉を聞いて、俺は幼馴染の言葉を思い出す。

あいつは「年齢の確認をお願いします」とは言っていなかった。

「ねぇ、霊の確認をお願いします」と言っていたのだ。俺に幽霊だと自覚しろと、言っていたのだ。


はは、コレでやっと俺も成仏できるぞ。

もう、真夜中のコンビニに行かなくて済む。

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コンビニ幽霊 せおぽん @seopon

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